2009 Fiscal Year Annual Research Report
イオンビームによる自己高機能化型有機―無機転換ナノファイバーに関する研究
Project/Area Number |
19350115
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
杉本 雅樹 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (90354943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出崎 亮 独立行政法人 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (10370355)
関 修平 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30273709)
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Keywords | ナノファイバー / 有機-無機転換 / SiCセラミックス / ポリカルボシラン / グラフト重合 / メタクリル酸グリシジル / ラジカル |
Research Abstract |
炭化ケイ素(SiC)セラミックスの前駆体であるポリカルボシラン(PCS)の薄膜にイオンビーム照射すると、個々のイオンの飛跡に添って架橋体が形成される。これを溶媒抽出して得られるPCSナノファイバーの表面に官能基を付与し、PtやPd等の金属を配位してから焼成することで、触媒能を有するSiCナノファイバーを作製する研究開発を行った。 当初、PCS薄膜に照射したイオン(Xe,450MeV)の飛跡に添って発生するラジカルの内、架橋体の形成に寄与しない残存ラジカルの反応性を利用して官能基をPCSナノファイバーに付与しようしたが、溶媒抽出の工程でPCSナノファイバーは膨潤し残存ラジカルは消滅していた。そこで、液状グラフトモノマーとして利用されているメタクリル酸グリシジル(GMA)を抽出溶媒として用いたところ、抽出と同時にPCSナノファイバー内の残存ラジカルを反応点としてGMAがグラフト重合することが明らかとなった。得られたグラフト化PCSナノファイバーのグラフト鎖を、Pt或いはPd配位官能基に変換した後、アルゴン中で焼成してSiCセラミックナノファイバーを作製した結果、焼成後であってもGMAの付与量と配位金属量に相関が認められた。 触媒金属を含有する高分子材料をPCSに混合したポリマーブレンドの薄膜をナノファイバー化する方法では、両者が同一の溶媒に溶解する必要があり、それぞれの飽和溶解度の差から均一な薄膜を成膜するためには高濃度な金属を含有させることが困難で、金属の種類や濃度に制限が生じていた。今年度開発した方法ではそれらの制限も無く、比較的簡便な方法で様々な金属元素を含有するナノセラミック材料を作製可能な基礎技術として応用可能である。
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Research Products
(12 results)