2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19360012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柿本 浩一 Kyushu University, 応用力学研究所, 教授 (90291509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寒川 義裕 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90327320)
中野 智 九州大学, 応用力学研究所, 技術職員 (80423557)
宇田 聡 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90361170)
黄 新明 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (80375104)
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Keywords | 結晶成長 / シリコン / 3次元解析 |
Research Abstract |
水平磁場印加法を用いたシリコンの結晶育成法は、LSI用のみならず太陽電池の結晶育成にも応用されている。この、横磁場印加法は、広くシリコンの結晶成長に利用されているにもかかわらず、その幾何学的非対称性から、結晶育成炉内のシリコン結晶および融液の温度分布や流速分布を解析的に求めることは従来行われてはこなかった。本研究では、結晶育成炉内の熱と物質の移動現象を3次元で解析可能なアルゴリズムの開発と、それを使用した解析を行った。従来、結晶育成炉内の解析を3次元で行うことは、計算機のメモリーや演算速度との関係から、その実現がほぼ不可能とされてきた。しかし、必要な部分のみ3次元で解析し、2次元の解析で十分機能する領域は2次元で解析するという新しいアルゴリズムの開発を行った。これにより、従来不可能であった結晶育成炉内の温度分布、速度分布を定量的に解析することが可能となった。 具体的には、結晶成長炉内の結晶、融液、坩堝、サセプターの部分を3次元で解析し、他のヒータ、熱遮蔽対等は2次元で解析している。ここで、2次元の解析と3次元の解析を連携させるところが本研究で開発した新規アルゴリズムの重要なポイントである。すなわち、結晶育成炉の形状は軸対象であるが、実際に生じている現象は3次元構造を有する。そこで、この性質を利用して、輻射計算に必要なview factorの2次元性と3次元性を考慮することにより、効率的に2次元格子と3次元格子の間の輻射熱の交換を計算することが可能となった。このために、融液対流の3次元構造や結晶中の温度分布を3次元で求めることが可能となった。さらに、融液と結晶との界面の形状を3次元で表現することが可能となり、各位置における結晶成長速度の分布を求めることが可能となってきている。 これらの結果は、従来実験で観測されている結果と、ほぼ定量的に一致しており、計算制度に関する検討も行っている。また、この結晶成長速度を用いて、固液界面における不純物の偏析現象を記述することが可能となり、不純物の結晶中における分布を3次元で解析することが可能となってきている。ここで得られた結晶中の温度分布を用いて結晶中の応力分布を求めることも可能となってきている。また、これらの結果も、従来結晶成長実験より得られた不純物分布を、ほぼ定量的に表現することが可能となってきている。 このように、本研究で開発した3次元総合伝熱解析コードは、必要な部分のみを3次元で解析し、残りは2次元で解析することにより、従来不可能であった結晶育成装置の3次元解析を、適当な計算機メモリーサイズで、しかも許容できる解析時間内で可能なものとした。そして、局所の結晶育成速度は、結晶の回転数にかかわらず類似の分布をしていることが明らかとなってきている。これは、水平磁場により融液対流が整流され、結果として結晶回転数が変化足手も、融液と結晶の温度分布は大きく変化しないために、このような結果が導き出されていることが判明している。
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