2008 Fiscal Year Annual Research Report
X線タルボ干渉計を用いたX線位相微分顕微鏡の開発とその応用
Project/Area Number |
19360027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
百生 敦 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (20322068)
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Keywords | X線 / 顕微鏡 / 位相 / シンクロトロン放射光 / Talbot効果 |
Research Abstract |
X線領域の位相コントラスト利用は、弱吸収物体の観察を容易にすることから、生体軟組織や高分子材料の観察を可能とする。X線トモグラフィと組み合わせることにより高感度三次元観察も可能である。X線位相利用イメージングは、このようにコントラスト分解能が大幅に向上するという利点があるが、同時に空間分解能も重要な要素である。本研究では、微分位相コントラストを生成するX線Talbot干渉計を結像型X線顕微鏡と融合させることにより、コントラスト分解能と空間分解能の両方において優れたイメージング手法の開発を行った。 当初予定の位相敏感X線顕微鏡の開発には成功し、X線位相ナノトモグラフィの測定も、高分子ブレンド試料について成功した。開発した技術を用いて、骨や脳の試料の観察を目指した共同研究も進めている。この開発過程において、我々はさらに高感度・高分解能の画像が期待できる新しい構成を見出した。結像型X線顕微鏡とX線格子一枚をX線フォーカス位置近くに置いて使う構成のものである。X線Talbot効果を利用する点においてはこれまでと同じである。光学顕微鏡や電子顕微鏡の分野でも無かったコンセプトによるものであり、光学分野における学術的意義もある。ただし、これまでより複雑な画像変換技術が必要となり、簡単な構造を持つテスト試料の観察においては成功したが、未知の複雑な構造観察においても機能する堅固な画像変換アルゴリズムの開発が今後の課題といえる。 このように、我々の当初の着想を超えた光学系の研究に進展してきており、より幅広い応用を視野に入れつつ、今後の研究を加速させたい。
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Research Products
(9 results)