2009 Fiscal Year Annual Research Report
X線タルボ干渉計を用いたX線位相微分顕微鏡の開発とその応用
Project/Area Number |
19360027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
百生 敦 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (20322068)
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Keywords | X線 / 位相 / 顕微鏡 / トモグラフィ |
Research Abstract |
X線領域の位相コントラスト利用は、弱吸収物体の観察を容易にすることから、生体軟組織や高分子材料の観察を可能とする。X線トモグラフィと組み合わせることにより高感度三次元観察も可能である。X線位相利用イメージングは、このようにコントラスト分解能が大幅に向上するという利点があるが、同時に空間分解能も重要な要素である。本研究は、X線透過格子によるTalbot効果と結像型X線顕微鏡と融合させることにより、コントラスト分解能と空間分解能の両方において優れたイメージング手法の開発を目論んだ。 これまでX線Talbot干渉計として2枚のX線透過格子を用いる方法を検討してきたが、最終年度は一枚の格子とX線フレネルゾーンプレートを組み合わせた構成を考案し、それによる実験を行った。この構成では、位相差分像と呼ぶべき位相シフト像の二重像が取得でき、空間分解能およびコントラスト分解能において、X線Talbot干渉計を用いる場合の期待値を大きく上回ることが理論的に予想できている。二重像から通常の位相シフト像を形成するために、特殊な画像処理プロセスが必要となり、このプロセスの性能が手法の有用性を左右すると考えている。シンクロトロン放射光(SPring-8)を用いた実験では、ポリマー球はテストチャートの観察を実施し、良好な画像を得ることができた。さらに、試料を回転して複数の投影方向で撮影を繰り返すことによる位相ナノトモグラフィの予備実験も行えた。手法の報告は一流誌に掲載済であり、当初の目標を果たすととのみ、今後の展開が期待できる結果と得た。
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Research Products
(12 results)