2007 Fiscal Year Annual Research Report
切削-摩擦攪拌複合加工による金属表面へのナノ結晶層の創成と表面改質
Project/Area Number |
19360060
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
笹原 弘之 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (00205882)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 正臣 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (90108217)
佐藤 隆太 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 助教 (60376861)
|
Keywords | 切削 / 工具 / 表面改質 / 機械加工 / 疲労寿命 / ナノ結晶 / エンドミル / 耐食性 |
Research Abstract |
優れた形状創成能力を有するエンドミル形状工具による切削加工と同時に,切削面のごく表層を積極的に摩擦攪拌することにより,圧縮残留応力の付与と数十ナノメータレベルまでの結晶微細化を行い,強度,耐疲労破壊性,耐食性,耐摩耗性に優れた機能表面を創成する新たな加工法の開発に関する研究を行った. (1)切削・摩擦攪拌複合加工による加工面特性の評価 ・S45Cを被加工材とし,黒鉛を添加した加工油剤を用いることにより,摩擦攪拌時に炭素が加工面に拡散され硬度が上昇することを期待したが,硬度に有意な差は見られなかった.しかし,黒鉛の添加により加工中の温度上昇が抑制されることがわかった.これにより,温度上昇を抑えて極端な大ひずみを付与でき,部分的に950HV程度のナノ結晶を創成するのに有利であることがわかった. ・一方,温度がオーステナイト領域まで上昇する場合には,摩擦攪拌されながら冷却する過程で微細なマルテンサイト組織となっていることが推測された.この場合,200ミクロン程度の厚さで800HV程度の硬度の改質層が創成される. ・加工表面層の結晶粒を数十nmまでの微細化することにより耐食性が向上する可能性がある.今年度は電気化学アナライザにより定常分極曲線を測定したところ,摩擦攪拌加工により創成された微細なマルテンサイト組織は母材に比べ,耐食性がやや高いことが分かった. (2)切削・摩擦攪拌複合加工における塑性流動状態など加工機構の解明 ・加工温度の評価をサーモグラフカメラにより行った.しかし,測定方法の制限により加工部位の真の温度よりも低い温度しか測定できていないためさらに検討が必要である. (3)摩擦攪拌に超音波振動を付与した場合の加工面特性の検討 ・外的に20kHz程度の超音波振動を与え,エンドミルに設ける突起形状による塑性変形をより促進させた場合の加工面の特性の評価に着手した.
|