2008 Fiscal Year Annual Research Report
切削-摩擦撹拌複合加工による金属表面へのナノ結晶層の創成と表面改質
Project/Area Number |
19360060
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
笹原 弘之 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (00205882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 正臣 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (90108217)
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Keywords | 切削 / 工具 / 表面改質 / 機械加工 / 疲労寿命 / ナノ結晶 / エンドミル / 耐食性 |
Research Abstract |
優れた形状創成能力を有するエンドミル形状工具による切削加工と同時に,切削面のごく表層を積極的に摩擦攪拌することにより,圧縮残留応力の付与と数十ナノメータレベルまでの結晶微細化を行い,強度,耐疲労破壊性,耐食性,耐摩耗性に優れた機能表面を創成する新たな加工法の開発に関する研究を行った. (1) 切削・摩擦攪拌複合加工による加工面特性の評価 ・電子顕微鏡,コンフォーカル顕微鏡による組織観察により結晶粒の微細化状態と組織変化を観察した.S45Cの場合は,エッチングされにくい白い層が生成され,硬度は900HVに達する.急冷のみによって得られる通常のマルテンサイトよりも微細化した組織が観察された. ・一方,SUS304の場合は変態しないが結晶粒は微細化しており,硬度は55oHV程度まで上昇することがわかった. ・摩擦攪拌時の温度履歴について,赤外線放射温度計および,被加工物に埋め込んだ細線の熱電対により測定した.微細なマルテンサイト組織となる際には,温度がオーステナイト領域まで上昇していることと,工具通過後には十分な冷却速度で温度が低下することがわかった.また,その際に,大きな加工ひずみを受けて通常の熱処理だけでは生じ得ない微細なマルテンサイト組織となっていると考えられる. ・加工表面層の結晶粒を数十nmまでの微細化することにより耐食性が向上する可能性がある.今年度は電気化学アナライザにより定常分極曲線を測定したところ,摩擦攪拌加工により創成された微細なマルテンサイト組織は母材に比べ,耐食性がやや高いことが分かった. (2) 切削・摩擦攪拌複合加工における塑性流動状態など加工機構の解明 安定的に900HV程度の高硬度組織を得るには,マルテンサイト変態と結晶粒微細化の両者が寄与していると考えられる.摩擦攪拌による大ひずみのみでも結晶粒微細化と高硬度化は可能である.
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