Research Abstract |
省エネ化・省資源化の実現に向けた限界設計の実現のためには,より精密で実機に近い大規模自由度モデルに対する高精度の解析が不可欠である.しかしながら,システム内に不可避的に含まれる多種多様な非線形性をも考慮できるような実用的な振動解析システムは皆無に等しく,研究代表者らが開発した拘束モードを利用する低次元化法はその問題を解決する有力な手法である.本年度は以下の項目について実施した. 1.実拘束モードを用いて低次元化を行う場合,非比例減衰系やジャイロ効果が作用する回転軸系に対しては,減衰行列の完全な対角化が不可能であるため,計算能率向上のために非対角項を無視する必要があり,これが解の精度低下の原因となっていた.そこで,複素拘束モードを利用する方法を提案し,より高精度な結果が得られることを確認した. 2.前年度まで,局所的に強非線形性を有し大部分は線形である系を対象としていたが,現実的には局所的な強非線形性に加えて大域的に比較的弱い非線形性が分布していることが多い.このような系に対する本低次元化法の適用を図り,その有効性を確認した.その際モード座標と物理座標との変換手続きの効率化を実現することで,高速かつ高精度な解析が可能となった. 3.3次元樹状構造物のような特に自由度の大きな系においては,低次元モデルを利用して振動解析に多くの時間を要することがある.この対策として,調和バランス法を適用しその有効性を検討した. 4.上記の理論的検討に基づき,汎用性と拡張性の高い振動解析システムの実現を目指して,共通性の高いプログラムを作成した. 5.排気系の管内における流体の非線形性に起因する非線形圧力波を具体例に,多自由度集中系へのモデル化による解析を行うとともに,実験機を製作しモデル化の妥当性の検証を行った. 以上の成果により,大規模非線形性系への本低次元化法の適用範囲の拡帳が実現された.
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