Research Abstract |
本研究の主眼は,クローズドサイクルMHD発電の実用化に向けて,より現実的立場に立ち先導的で牽引役となる「MHD発電機の実用高度化」研究を重点検討課題に焦点を絞って戦略的に推進することにある。具体的には,短時間ながらも様々な運転条件に柔軟に対応可能な衝撃波管駆動MHD発電実験装置,および高精度電磁流体数値シミュレーションを駆使して,発電機の実用高度化のために不可避な検討事項であるにかかわらず,連続発電装置(クローズドループMHD発電実験装置)では詳細に捉えることが困難な点に焦点を絞ってその明確化を図り,高性能化に向けての改善・改良策の具体的提言の有効性を実験的に証明し,将来研究に資する確度の高い指針を与えることを目的とする。 平成19年度(初年度)は,衝撃波管駆動用ディスク形MHD発電機を用いて,発電内のプラズマ電磁流体挙動と発電性能など基礎物理現象を詳細に把握し,課題解決に向けての提言を行うための基盤を確立することに的を絞った。 結果として,連続発電装置での超電導電磁石装置(中心磁束密度4.0T)を流用し,その印加磁束密度に適する作動気体全圧力を見極めることで,高い発電性能(等エントロピー効率50%、エンタルピー抽出率17%)を達成した。また,同時に類似の発電システムの中では世界最高記録となる高い発電出力密度0.76GW/m3を達成したことは特筆に価する。一方で,乱流モデル(LES)を考慮した2次元数値シミュレーションから,発電機形状の最適化により,より理想的な状態(高マッハ数,高ホールパラメタ)での更なる高性能化が期待できることが明らかとなった。 今年度の実績を踏まえた更なる展開は,次年度以降に行うが,今年度得られた結果は,MHD発電機の持つ高い潜在能力を実証しており,本研究で達成しようとする研究成果の確実な基盤を築いたといえる。
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