2007 Fiscal Year Annual Research Report
高速成膜PLD法により作製した厚膜磁石の異方化と高性能・超小型モータへの展開
Project/Area Number |
19360147
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中野 正基 Nagasaki University, 工学部, 准教授 (20274623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 博俊 長崎大学, 工学部, 教授 (10136533)
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Keywords | 磁性 / PLD法 / 厚膜磁石 / 高速成膜 / 異方性 / エネルギー積 / ミリサイズモータ / YAGレーザ |
Research Abstract |
本研究ではNd-Fe-B系厚膜磁石の作製方法として、数10 μm/h程度の比較的高い成膜速度を得ることが可能なPLD法を用いた。材料自身の高性能化を目的とし、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い等方性磁石膜の観察を行なった結果、結晶粒の微細化ならびに均一化を促すことが磁気特性を向上させる有効な手段であることが示唆された。そこで、等方性磁石膜の磁気特憐を向上させる方法として、ナノ構造制御の観点から、(1)パルス熱処理法ならびに(2)添加元素を施す手法について検討した。さらに、異方性磁石膜に関しても、同様な観点から、添加元素を施す手法を適用し、磁気特性ならびに配向性の向上について検討した。今年度に得られた知見を以下に示す。 (1) パルス熱処理法とターゲットへの他元素の添加を融合させた手法により、等方性磁石膜の更なる保磁力の向上を実現した、特に、Gaを添加したターゲットを用い作製した磁石膜では、最大1669kA/mの著しく高い保磁力を実現した。加えて、他元素の添加はターゲット含有のα-Fe量を増加させた際にも保磁力向上に対し有効であることを明らかにした。Zr、Nbを添加したターゲットを用い作製した磁石膜の(BH)_maxは、添加元素を施していないターゲットを用い作製した磁石膜のものに比べ向上し、約70kJ/m^3を得た。 (2) 添加元素が異方性磁石膜の磁気特性ならびに配向性に及ぼす影響について検討した。その結果、Gaを添加したターゲットを用い作製した磁石膜では、磁気特性ならびに配向性が向上し、残留磁化:0.94T、保磁力:843kA/m、(BH)_max:153kJ/m^3を得た。この磁石膜の(BH)_maxは添加元素を施していないターゲットを用い作製した磁石膜のものに対し、約2倍であった。
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