2008 Fiscal Year Annual Research Report
仮想アンテナアレーによる送信ビーム形成を用いた高信頼度無線通信に関する研究
Project/Area Number |
19360168
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小川 恭孝 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (70125293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大鐘 武雄 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (10271636)
西村 寿彦 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (70301934)
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Keywords | 移動体通信 / 協調無線 / MIMOシステム / アンテナアレー / アヒー信号処理 / キャリア周波数オフセット / サウンディングパケット / 送信電力 |
Research Abstract |
複数の端末が互いに協力し合う仮想アンテナアレーによるMIMOシステムを用いて信頼度の高い通信を行うことを目的として本年度は以下の成果を得た. 1. 端末間の周波数オフセット補償 仮想アンテナアレーにおいては, 上り回線のサウンディングパケットにより推定されたチャネルを用いて最適な送信ウエイトを基地局からフィードバックしても, 各端末が独立な発振器で動作しているため周波数オフセットが存在し, 実際に信号を送信するときにはウエイトに位相誤差が生ずることになる. この問題を解決するため, 前年度に開発した複数サウンディングパケットによる, 周波数オフセットの補償に加えて, 受信側でのRLSアルゴリズムに基づく干渉補償を組み合わせることにより, その影響を低く抑えることができることを明らかにした. 2. 下りフィードバック量の低減 各端末の送信ウエイト, 及び, その他のパラメータは基地局からのフィードバックにより報知される. これは下り回線の通信を圧迫することになる. 送信ウエイトについては, 端末と基地局で共通のコードブックを持ち, 最適に近いウエイト行列のインデックスのみを伝送するなどにより, フィードバック量の削減を提案した. シミュレーションの結果, フィードバック量の低減による特性劣化は大きくないことが明らかになった. 3. 送信電力の低減効果 仮想アンテナアレーによるMIMOシステムを運用するには, 端末間で送信データを共有しなければならない. そのためには, 1つの端末から周囲の端末に情報を配信する必要がある. これに要する送信電力を考慮した上で, 所定のビット誤り率を達成する総送信電力を求め, 単一の端末のみで通信を行った時の送信電力との比較を行った. その結果, 基地局から遠い位置に端末が存在している場合には, 仮想アンテナアレーの所要送信電力が単一の端末のみのそれよりも, はるかに低いことを明らかにした.
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