2009 Fiscal Year Annual Research Report
仮想アンテナアレーによる送信ビーム形成を用いた高信頼度無線通信に関する研究
Project/Area Number |
19360168
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小川 恭孝 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (70125293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大鐘 武雄 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (10271636)
西村 寿彦 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (70301934)
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Keywords | 移動体通信 / 協調無線 / MIMOシステム / アンテナアレー / アレー信号処理 / 送信電力 / サウンディングパケット / キャリア周波数オフセット |
Research Abstract |
本研究は,複数の端末が互いに協力し合う仮想アンテナアレーによるMIMOシステムを用いて,低送信電力で信頼度の高い上り回線の通信を実現することを目的としている.具体的には,始めに,1台の端末が周囲の端末に信号を送信する.基地局では,各端末から送信されるサウンディング信号を用いて,各端末間のキャリア周波数オフセットを推定すると共に,各端末による仮想アレーアンテナを用いた時の固有ビーム空間分割多重(E-SDM)を実現する送信ウエイト行列などのE-SDMパラメータを求める.これらを各端末にフィードバックし、周波数オフセットを補償したE-SDM伝送を実現する.本年度は以下の成果を得た. 1.送信電力低減効果の評価 仮想MIMOの送信電力を求めるためには,端末間のフェージング特性と基地局から端末までの伝搬特性を想定する必要がある.端末間はKファクタが0dBの仲上-ライスフェージングを仮定した.基地局と端末間のパスロスはITU-R M.2135に記載されているUrban Macroを用いて決定した.シャドーイングは標準偏差6dBの対数正規分布を仮定し,その90%値で評価した.高速フェージングはJakesモデルによるレイリーフェージングを仮定した.仮想MIMO方式を用いることにより,協調を行わないで1台の端末のみで送信するSIMO方式に比べ,平均誤り率10^<-4>において,約6dBの送信電力低減が可能であることを明らかにした. 2.動的フェージング環境における特性評価 協調を行っている端末が移動すると,動的フェージング環境になり,端末と基地局間のチャネル推定に誤差が含まれるためE-SDMパラメータが正しく求められず,仮想MIMOシステムの特性に劣化が現れる.そのため,チャネル予測技術等の導入が必要であることが明らかになった.
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