2009 Fiscal Year Annual Research Report
高解像度の海浜海底地形環境評価法の開発と砂浜海岸保全への適用
Project/Area Number |
19360213
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関口 秀雄 Kyoto University, 防災研究所, 教授 (20027296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間瀬 肇 京都大学, 防災研究所, 教授 (30127138)
武藤 裕則 京都大学, 防災研究所, 准教授 (40263157)
釜井 俊孝 京都大学, 防災研究所, 教授 (10277379)
原口 強 大阪市立大学, 理学研究科, 准教授 (70372852)
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Keywords | 地盤環境 / 砂浜海岸 / イベント堆積物 / 海岸侵食 / 海浜海底地形 |
Research Abstract |
本研究では、イベント過程を織り込んだ、数十年から数百年オーダーの海浜地形変化を高解像度で予測し得る方法論の確立を目指す。そのため、本年度は以下の研究を行った。1)海底地形変動の詳細計測;昨年度に引き続き大潟海岸において三次元サイドスキャンソナー(C3D)計測を行った。すなわち、地形変化限界水深を越えた沖合への土砂流出機構を視野に入れて、水深5m~20mの範囲の岸沖測線、計6測線(測線A~測線F)をカバーした。その結果、人工リーフの沖合(水深8m以上)においても海底地形変化(侵食)が顕著であることを確認した。2)底質のバイブロコアリングと海底砂漣の形態観測;漂砂の動態を明らかにするために、測線Cに沿って10地点、測線Fに沿って2地点で底質のバイブロコア採取を行った(コア長は0.4m-1.lm)。合わせて。砂漣の形態観測を実施した。特筆されるのは、当海域は砂礫主体であるにもかかわらず、測線Cの水深9m地点から、粘土塊とシルト層試料が採取されたことである。当地は潟町砂丘が最も発達した地点の沖合に当たるが、1961年帝国石油報告書記載の海上ボーリング柱状図ともつきあわせると、当海底域には古砂丘体が埋没していると判定できる。当海底は過去50年の間に約3m、侵食されている。そのため、古砂丘体上面のエスチャリー性堆積物がバイブロコアリングによって採取可能になったものである。大潟海岸域では海底地形変化(侵食)が周辺海域よりも顕著であり、その要因の一つとして埋没古砂丘が現世の漂砂源になっている可能性がある。(3)後浜-砂丘斜面における物理探査; 大潟海岸後浜-砂丘斜面系における表層堆積環境を同定するために、牽引式比抵抗探査および表面波探査を実施した。その結果、砂浜後背の海岸砂丘が果たしてきた自然の砂貯留機能について興味深い知見が得られた。海岸砂丘の自然の砂貯留機能は、暴浪イベントによる砂浜の急激な地形変化にもかかわらず、砂浜海岸が長年月にわたって持続し得る特性(resilience)の物理過程の本質に繋がることを強調しておきたい。
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Research Products
(4 results)