Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 正治 京都大学, 防災研究所, 教授 (60181369)
角 哲也 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40311732)
武藤 裕則 京都大学, 防災研究所, 准教授 (40263157)
堤 大三 京都大学, 防災研究所, 准教授 (40372552)
|
Research Abstract |
土砂動態と生息場・生物多様性の関係解明:岐阜県高原川源流域では,土砂生産量や移動量の異なる谷で生息場構造と底生動物群集を分析した結果,年最大流量でも石礫の動かない安定した谷よりも石礫の動く谷の方が生息場構造や底生動物群集の多様性が高いが,30年確率の撹乱時には安定的な谷が生物種の避難場所になることが分かった.和歌山県有田川と奈良県十津川では,森林様式や土石流履歴の異なる谷の河床地形と微生息場の対応関係を分析し,撹乱から一定期間後に生息場多様性が最大化する傾向を見出した.栃木県鬼怒川上流では,ダムの上下流区間で河床土砂量と生息場構造を比較した結果,岩盤化によりステップが形成され岩面型の生物群集に変化することがわかった. 生息場予測モデルの開発:岐阜県高原川源流域では,凍結融解度指数を用いた土砂生産量の指標と河道内の微生息場構造との間で各種相関分析を行なった結果,裸地河道面積率や裸地河道幅が土砂生産量と微生息場を結ぶインタフェースとして有効であることがわかった.これらを利用して,コケマットなどの微生息場の出現率や出現量を予測する統計モデルを作成した. 生息場形成・機能に関する実験的研究:落差工を部分撤去した際の上流側河床地形変化に着目し,流量条件や撤去形状の違いによる砂州形状変化を調べた.その結果,1)中規模河床形態である砂州の形成は平均年最大規模流量に依存し,中小洪水時には水みちの下刻・部分的侵食は進行するが砂州は移動しない,2)定常流量下の平衡河床は,初期河床形状に依存しない,3)撤去断面積の増加とともに,短対角州→交互砂州→水みちの発達→複列砂州→砂州の平坦化と変化することが分かった.また,砂礫堆が有機物粒子を捕捉する機能を評価するために,上記実験水路に一定量のマツ花粉を流下させ地形条件別に捕捉率を測る実験を行なった.その結果,砂礫堆地形の側面で捕捉率が高い現象が見出された.
|