2007 Fiscal Year Annual Research Report
安定化局所不均質構造を有する新金属ガラスの創製と動的ナノ構造変化機構
Project/Area Number |
19360309
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
才田 淳治 Tohoku University, 学際科学国際高等研究センター, 准教授 (20359540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 秀実 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (80323096)
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Keywords | バルク金属ガラス / ガラス形成能 / 局所構造 / 塑性変形 / 動的構造変化 / 微細構造変化 / 不均質構造 / 核生成制御 |
Research Abstract |
作製時のチャンバー内の雰囲気圧力を変えることでZr_<65>Al_<7.5>Ni_<10>(Cu, Pd)_<17.5>金属ガラスのガラス形成能が大きく変化することを見出した。これは比較的低温(〜ガラス遷移温度+200K)の冷却速度がチャンバー雰囲気圧力によって大きく変わるためであることを冷却曲線の実測によって明らかにした。このような冷却プロセスは、鋳造された合金は最初鋳型への熱伝導が冷却において支配的になるが、凝固が進行することで収縮が起き、その結果鋳型表面との間に隙間が生じることで冷却機構が雰囲気を介した熱伝導に変わるためであることを考察した。従って、低温領域でナノ準結晶析出領域が存在する高Pd含有合金で、しかも雰囲気圧力が高い場合に大きくガラス形成能が向上することが認められた。このように作製条件によって核生成挙動を制御することで、これまで得られなかった組成範囲でバルク状のガラス構造が達成されるという結果は、新しいバルク金属ガラスの作製方法として注目されるものである。上記合金の圧縮変形挙動を調べた結果、一般のバルク金属ガラスよりも優れた塑性変形能を示すことがわかった。優れた塑性変形能を発現するメカニズムとして、圧縮変形破面付近の透過電子顕微鏡(T E M)によるナノスケール解析の結果、変形帯の移動にともなって動的な微細結晶析出が起きることを確認した。このような動的微細構造変化は、安定な二十面体局所構造に代表される局所不均質構造に起因するものと推測されている。
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