2007 Fiscal Year Annual Research Report
抽出操作における分子集合素子という新しい概念の創出
Project/Area Number |
19360354
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 雅宏 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 教授 (10211921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 典穂 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (50302766)
丸山 達生 神戸大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30346811)
久保田 富生子 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (60294899)
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Keywords | 逆ミセル / イオン液体 / 抽出分離 / バイオ分子 / タンパク質 / DNA / 界面活性剤 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究は,これまで抽出という単位操作において使用されてきた単一の抽出試薬とは異なり,認識ターゲットに対して高い抽出能および選択性を有するような分子集合試薬(複数の分子が集合してはじめて抽出能力を発揮するような分子集合素子)を開発するものである。 本年度は,タンパク質及びDNAを抽出するという目的に合致する分子集合系の構築を試みた。分子体を特にDNAの認識素子として利用するために、分子設計に基づき新たな界面活性剤(核酸誘導体)を合成した。特にDNAの表面電荷と相互作用を行うイオン性部位の構造と有機溶媒への溶解性を高めるための疎水基の分子構造の選択が、DNAの抽出分離機能を向上させるための重要なポイントとなった。界面活性剤の親水部に1本鎖型のDNA配列を導入すると,それに対応する相補的なDNAのみを選択的に抽出できることが明らかとなった(Chem.Comm.の表紙として採用)。さらに,イオン液体中にクラウンエーテルを溶解させることによって,アミノ基を有するタンパク質チトクロムcが,選択的に抽出できることを示した。この場合,およそ20個のクラウンエーテルが協同的に作用し,タンパク質の水相からイオン液体相への移動を可能にしたものと推察される。タンパク質表面のアミノ酸を改変することによって,抽出のドライビングフォースが,クラウンエーテルとアミノ基の親和力に基づくものであることを明らかにした。
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