2008 Fiscal Year Annual Research Report
抽出操作における分子集合素子という新しい概念の創出
Project/Area Number |
19360354
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 雅宏 Kyushu University, 工学研究院, 教授 (10211921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 典穂 九州大学, 工学研究院, 准教授 (50302766)
久保田 富生子 九州大学, 工学研究院, 助教 (60294899)
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Keywords | 逆キセル / マイクロエマルション / 分子集合体 / 抽出 / 分離 / タンパク質分離 / イオン液体 / 分子認識 |
Research Abstract |
我々は、単一の分子では、水中のタンパク質はまったく抽出できないが、有機相中に逆ミセルという分子集合体を形成させるとタンパク質の抽出が可能となることを明らかにした。そのドライビングフォースは、主に、タンパク質の表面電荷と界面活性剤親水部の電荷による相互作用であることを明らかにした。特に、タンパク質抽出のために合成したオレイルジリン酸(DOLPA)は、様々なタンパク質に対して、高い抽出能力を示した。また、有機溶媒に変わる新たな溶媒として、疎水性の高いイオン液体に注目し、その中で安定な逆ミセル(マイクロエマルション)を形成させることに成功した。イオン液体中に形成させた逆ミセルは、有機溶媒よりもさらに安定に酵素やタンパク質を内部に保持できることを、リパーゼ、プロテアーゼ、ペルオキシダーゼを用いて明らかにした。 さらに近年、RNAやアプタマーが創薬のターゲットとして注目されている。薬として特定配列のDNAやRNAを用いる場合、これらを大量に合成する必要があり、また合成されたものを大量精製する技術が必要になる。そこで、我々はそれら生体分子の分離場としてタンパク質抽出等に用いられる逆ミセルの利用を考えた。逆ミセル抽出は容易にスケールアップが可能で大量精製に適している。この抽出系において配列選択的なDNA・RNA抽出が可能ならば、RNA創薬・アプタマー創薬における精製技術として利用できると考えた。本研究ではDNA鎖にオレイル基を結合させたDNA界面活性剤を抽出剤として合成し、DNAの相補鎖認識能を抽出の駆動力とすることで配列選択的なDNA抽出を達成した。
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Research Products
(4 results)