2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール準閉鎖空間の反応解析とハイブリッド材料創製
Project/Area Number |
19360361
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岸田 昌浩 Kyushu University, 工学研究院, 教授 (60243903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 壮 九州大学, 工学研究院, 准教授 (10302936)
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Keywords | ナノ材料 / ナノチューブ / シリカ被覆 / 複合材料・物性 / 反応・分離工学 |
Research Abstract |
本研究では,金属-カーボンナノチューブ(CNT)のハイブリッド材料創製に向けて,シリカ被覆Niナノ粒子からのCNT生成速度を解析し,ナノ反応空間における反応機構と物質移動を明らかにすることを目的とする。これに対して本年度は次の成果が得られた。 1)シリカ被覆Niナノ粒子におけるシリカ被覆層の厚さの制御 シリカ被覆金属ナノ粒子の被覆層厚さは、CNT生成速度を検討する上で重要なパラメータの一つである.そのシリカ層厚さを、ニッケル原料に対するシリカ原料の仕込み比を変えることで、10〜25nmの範囲で制御することが出来た.さらに、シリカ被覆を行った後に、水-プロパノール混合溶液中で再度シリカ被覆を行うことによって、100nm厚さのシリカ被覆層に成長させることができた.これらの厚さの測定のために粒径分布測定装置の購入を予定していたが、いずれの市販装置でも、本研究独自の界面活性剤の影響により正確な測定ができないことが判明した.そこで、上記のシリカ層厚さはTEM観察から求めた。 2)エチレン分解速度とCNT生成速度の測定 得られたシリカ被覆ナノ粒子を用いてCNT生成反応を行い、CNT生成速度に対するシリカ被覆層の厚さの影響を調べた.エチレン分解速度は反応器前後のエチレン量の差から求めた.また、TEM観察では判明しづらい初期のCNT生成過程は、本年度に新規購入した走査型プローブ顕微鏡を用いて観察した.その結果、シリカ被覆層の厚さが厚いほど、CNTが生成するまでの遅延時間が長くなり、生成が始まってからもCNTの生成量が少なくなることがわかった.一方、CNTの成長速度に関しては、被覆層厚さが異なっても顕著な差は認められなかった.なお、エチレン分解速度とCNT生成速度との相関関係については、エチレン分解速度の測定誤差が大きかったため、次年度に実験を重ねてから検討することとした.
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