Research Abstract |
1)高分散担持系触媒上でのアルカン光反応の触媒励起メカニズムを含む反応の初期段階についてその反応機構を明らかにした。従来からシリカに担持したバナジウム,ニオブ,タンタル,モリブデン等が単分散された,MO4四面体型表面錯体として存在しているものが光触媒として有効であると考えられて来た。一方,その表面錯体の励起の機構は量子化学計算によって示されているが,その励起状態が触媒反応に関わっている保証はどこにもない。また,反応の活性点は金属酸素二重結合M=0と信じられているが,我々は,重酸素を用いてそれを間接的に示したが,それを直接示した結果は全くない。本研究では,触媒としてアルミナ担持バナジウム酸化物を用い,りん光スペクトルと作用スペクトルにより,MO4表面錯体の励起三重項状態が活性種である事を示した。また,赤外吸収スペクトルにより,V=0伸縮振動の変化を調べる事より,V=0が活性サイトである事,重水素ラベルしたシクロヘキサンを用いる事により,脱水素が起こる事を明らかにした。 2)その後の反応を定常状態を用いた速度論により,アルミナ上に吸着したシクロヘキサンが,バナジウム酸化物表面錯体の励起三重項状態と相互作用し,さらに,その励起錯体に酸素分子が攻撃をすると言うエリーリディール機構で反応が進行する事を見出した。 3)バルクニオブ酸化物に銅イオンを高分散担持してやると,アルコール液相酸化に高い活性を示す事を見出した。還元銅状態では触媒活性を示さず,反応に誘導期をもたらす。この誘導期は,銅を還元分散する為のものである事を見出した。銅の状態についてXAFSにより解析を行なったところ,1価,2価の分散銅が活性状態で存在する事が分かった。
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