Research Abstract |
(1)低級アルケンの気相酸化:シリカ担持酸化物上における,プロピレンから酸化プロピレン生成のメカニズムについて反応速度論,リン光スペクトルの解析等により調べた結果,低担持酸化バナジウムでは,二種類の活性種が存在する事が分かった。1つはオリゴマーのVO4四面体種であり,今ひとつはモノマーのVO4種である。前者は,プロピレンとの相互作用が強く主にアセトアルデヒド,アクロレイン等を生成するが,後者は酸化プロピレンを生成するものである。高表面積シリカにおいては,0.1wt%の担持量がVO4モノマー種の比率が高く,エポキシドへの選択性は50%となる。 (2)アルケンの液相酸化:ある種の鉄ポリフルフィリンはソーレー帯の励起により,一重項酸素を発生し自動酸化を促す事が知られていたが,本研究においては,溶液中にて鉄ポルフィリンをハイドロタルサイト等の塩基性固体と共存させる事によりアルケンのエポキシ化に活性な触媒反応系を構築する事に成功した。固体塩基の共存により,鉄ポルフィリンのアキシャル位の塩素イオンが水酸イオンに変化し,反応が進行するのである。 (3)アルコールの液相酸化:ニオブ酸化物に銅を微量担持した触媒は,アルコールの光酸化的脱水素反応に高い活性を示す。1-フェニルエタノールにおいては,ニートの反応においてアセトフェノンを定量的に生成する事ができる。ニオブ酸化物上において銅は,「2価-3価」の酸化還元を繰り返しており,いわば,電子のリザーバーとして働くとともに,ケトン,アルデヒドの脱離を促進する。これにより,反応の律速段階は光吸収過程となる。また,380nmの波長の光の照射において,見かけの量子収率が30%を越える事は特筆すべきである。
|