2008 Fiscal Year Annual Research Report
血流を積極的に導入する再構築形肝組織移植デバイスの実現可能性検証
Project/Area Number |
19360371
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 康行 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (00235128)
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Keywords | 肝組織工学 / 生物・生体工学 / 胎児肝細胞 / 移植 / 三次元担体 / 液性因子 / ES細胞 |
Research Abstract |
1.肝前駆細胞の三次元培養系の最適化 前年度に確立した三次元の培養条件において,FGF-1,FGF-4,HGFに加えてsodium btylateを添加したものにて,より若い胎生15日のラット胎児を使用することで,胎生17日のものから得られる増殖比3倍を5倍程度への増加させることができた.最終的な細胞当たりの機能は同等であったことから,胎生15日のものが望ましいと考えられた. 2.移植デバイスの構築と移植部位の決定 前年度に確立した頚動脈間への移植方法とデバイスを用いて,胎生17日と15日のラット胎児肝から上記の培養条件にて分化誘導細胞の移植実験と解析とを行った.しかし,三次元担体内への血流の直接導入において,担体内部での溶血および炎症反応によると思われる固定化肝前駆細胞の生存性悪化が観測された.これは,血流導入を前提とする再構築型組織の基本デザインに大きく影響する重大な知見であり,デバイスの抜本的改善が必須となった.そこで中空糸を介して三次元担体に固定化された肝前駆細胞と血流とを分離すること新たなデバイスを設計し,製作した.移植実験の結果,播種した肝前駆細胞の増殖を観察することができるようになった.一方で血流不足によると思われる壊死が,中空糸から遠い部分に散見された. 3.マウスES細胞からの肝分化誘導 国立がんセンター研究所の落谷孝広らが確立した液性因子に関する分化誘導条件に加えて,酸素分圧の段階的制御による分化誘導効率の向上を試みた.その結果,初期の内胚葉系への分化・胎児様の前駆細胞への分化の段階では,2-5%という低酸素雰囲気が,前駆細胞の成熟化の段階では20%という通常の酸素雰囲気が,望ましいことを示した.
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Research Products
(3 results)