2008 Fiscal Year Annual Research Report
深海環境下における油の微生物分解速度およびその支配因子の評価
Project/Area Number |
19360400
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 清 Chiba Institute of Technology, 社会システム科学部, 教授 (20281991)
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Keywords | 海洋生態 / 海洋保全 / 応用微生物 / 深海環境 / 環境技術 |
Research Abstract |
H20年度においては、まず深海環境下での炭化水素の微生物分解速度を定量的に把握できるよう実験方法の検討を行った。すなわち、従来は1回の実験において所定期間経過後の資料しか採取できなかったが、実験途中で微量の海水相試料採取が可能なように実験装置に改良を加え、水溶性の炭化水素を分解対象とすれば分解率および菌数の変化を実験途中で観測可能とした。また、従来は天然に棲息する菌群を使用していたが、初期の菌数をコントロールできないため、炭化水素資化能力が確認されている海洋細菌の単離株を入手し、培養後一定数を実験に供することができるように体制を整えた。 そのうえで、大気圧下の海洋表層に棲息し芳香族炭化水素資化能力のある菌として単離されたPseudomonasについて耐圧能力を5MPaまでの範囲内で確認し、この菌を用い、フェノールを対象に高圧下での分解実験を行った。フェノールは殺菌作用も持つ物質であるため、まず常圧下でペプトンを添加した人工海水中で、Pseudomonasが増殖可能な濃度範囲を確定するとともに、ガスクロマトグラフィによる分析下限を把握し、フェノール濃度が2000ppmを越えない範囲内で分解実験を行った。その結果、25℃、5MPaの条件では2週間で約10%の分解が進行していることが確認できた。これは比較対象として実施した大気圧下での分解率とほぼ同程度である。今後は、分解の過程での菌数の変化、さらに高圧環境下での可能性を確認するとともに、分解速度および菌数変化の定量的計測を試みる。
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