2008 Fiscal Year Annual Research Report
遠隔シス因子によるマウス組織特異的Shh遺伝子発現制御と染色体動態
Project/Area Number |
19370003
|
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
城石 俊彦 National Institute of Genetics, 系統生物研究センター, 教授 (90171058)
|
Keywords | Shh遺伝子 / 非翻訳保存配列 / 遺伝子発現制御 / 遠隔エンハンサー / 染色体動態 |
Research Abstract |
本研究を開始する段階で、研究代表者らは、マウス発生胚肢芽においてShh遺伝子の転写レベルの変化に応じてShh遺伝子座から遠く離れた遠隔エンハンサーを含むシス配列とShh翻訳領域の物理的距離が時期・組織特異的にダイナミックに変化することを見出していた。本研究では、Shh遺伝子の転写制御に絡む染色体高次構造変化の分子基盤を明らかにし、その生物学的意義を明らかにすることを目的として研究を実施した。本研究の成果により、マウス肢芽でのShh遺伝子発現は、エンハンサーとプロモーターの物理的相互作用に加えて、染色体テリトリーからのShh遺伝子座のルーピングアウトという二段階の染色体高次構造の変化によって制御されることが明らかとなった。また、Shh遺伝子の遠隔および近位エンハンサーの詳細な発現量の比較解析を行った。この結果、前者は短期間で比較的低レベルの遺伝子発現を、後者は長期間継続する高レベルの遺伝子発現を制御している可能性が示唆された。このように、段階的な染色体の高次構造のダイナミックな変化により、発生関連遺伝子の発現量についての巧妙な制御が行われていることが本研究によってはじめて明らかとなった。また、肢芽以外に、口腔から腸管に至る上皮組織を前後軸に沿って三分割するようにShh遺伝子発現を制御する組織特異的な遠隔エンハンサーを新たに三つ同定した。興味深いことに、これらのエンハンサーのゲノム上での配置は、Shh遺伝子発現の上皮組織での前後軸の並びに対応していることも明らかとなった。
|