2008 Fiscal Year Annual Research Report
交尾型カジカをモデルとして、繁殖様式の大進化に及ぼす精子競争の定量的影響評価
Project/Area Number |
19370007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宗原 弘幸 Hokkaido University, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (80212249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋 康則 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30273113)
早川 洋一 国際基督教大学, 教養学部, 研究員 (50384011)
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Keywords | カジカ / 交尾 / 卵寄託 / 異型精子 / 精巣構造 / 生態進化 |
Research Abstract |
本年度実施したことは, 大きく分けると, (1)コオリカジカ属の産卵行動の分析, (2)異型精子のホルモン分泌能について, (3)カジカ類の生殖器官と精子の組織観察, (4)北米産カジカ類の採集と繁殖生態調査の4つになる。 (1)雄性生殖突起のないウスジリカジカ(新称)と突起を有するラウスカジカ(2006年記載)の繁殖行動を観察し、前者は交尾をしないこと、後者は交尾をすることを確認した。なお、雄の生殖突起は分類学的形質としての評価は、従来低いものであったが、本観察によりコオリカジカ属の分類学的再検討がすすめられることとなった。(2)淡水カジカに見られる異型精子のステロイドホルモン産生能を確認した。機能としては、検証が必要であるが、正常精子の運動能および受精能の保持に関わるものと考えられる実験結果を得た。(3)生態が未知種も含め精巣および精子頭部の構造を20種で種間比較し, 精子を形成する精子頭部の形状に, 交尾種と非交尾種に対応する変異が見つかった。さらに, 精巣の構造についても系統と機能分化に関連が見つかり、精巣構造は社会行動に関連した生態進化との関連があることを示唆できた。(4)(3)と関連して、北米固有種で初めて卵寄託する交尾種が見つかった。長い産卵管を有することやホヤに産みつけることなど、極東固有種と共通する形態・生態的特徴が認められた。系統分類学から見ると、カジカ科の卵寄託は生態的な収斂と見ることができる。現在、分子系統的に調査を進めているところである。
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Research Products
(14 results)