2009 Fiscal Year Annual Research Report
繁殖タイミングの変異を介した生殖隔離の生態遺伝学的解析
Project/Area Number |
19370011
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮竹 貴久 Okayama University, 大学院・環境学研究科, 教授 (80332790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 顕 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40229539)
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Keywords | 時計遺伝子 / ウリミバエ / クリプトクローム / 生殖隔離 / 交尾時刻 / SNP解析 / キイロショウジョウバエ / 発育期間 |
Research Abstract |
昨年度に、交尾する時刻(繁殖のタイミング)が大幅にずれたため、生殖隔離の認められるウリミバエのショート系統(S)とロング系統(L)について時計遺伝子の塩基配列を比較したところ,光入力系に関与するcry遺伝子では2個のアミノ酸置換(285番目がSではArg:アスパラギン酸、LではLys:リシン、502番目がSではLys、LではAsn)がコード領域内に見られた。今年は、沖縄県で累代保存されている7つのウリミバエ集団について、この2箇所のクリプトクローム遺伝子アミノ酸サイトについてSNP解析を行い、アミノ酸置換率を推定した。その結果、cry遺伝子の502番目のアミノ酸がLysに置換した集団は、Asnである集団に比べ概日周期長と発育期間が長く、交尾時刻が遅かった。また表現型変異が中間に位置する集団では、この2サイトはヘテロであり、交配隔離への関与が強く示唆された。さらに今年度は不妊化したウリミバエのS系統とL系統を岡山大に空輸し、cry遺伝子の脳内発現量の定量的PCR解析も行った。その結果、cry遺伝子の脳内発現周期はS系統とL系統で有意に異なった.この結果は、cry遺伝子がウリミバエの繁殖タイミングに関与することを示唆する。さらに今年度は、発育期間と戸経緯電子の相関が、ウリミバエ以外の種においても検出されるかどうかについて,モデル生物であるキイロショウジョウバエを材料として,発育期間に対する人為選抜実験を行うと共に、ゲノムワイドスクリーニング法により、遺伝的に発育期間の異なるキイロショウジョウバエにおいて,概日リズムの変化、及び時計遺伝子との関連について調査した。その結果、キイロショウジョウバエにおいても人為選択法により発育期間の異なる集団を確立でき、集団問での概日リズムに違いが見られることが示唆された。
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Research Products
(5 results)