2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物側生器官の傾斜屈性の生理学的、分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
19370013
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 興太朗 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (80142008)
|
Keywords | 傾斜屈性 / オーキシン / オーキシン極性輸送 / 屈地性 / 側根 / アミロプラスト |
Research Abstract |
傾斜屈性とは、茎や根が重力方向から一定角度を保って成長する現象をいう。本研究では、一見、傾斜屈性を示しているように見えるシロイヌナズナ hy5突然変異体の側根に着目し、傾斜屈性の分子機構の解明を試みた。hy5の根系を2次元画像として取りこみ、一本いっぽんの側根(または主根)について、成長量(長さ)と成長方向(角度)との関数関係を測定し、その関数関係に対して重力方向の変化が与える効果について調べた。その結果、hy5の側根の一部は、傾斜屈性を示していることが示唆された。また、屈地性に対する感受性にしばしば影響を与えていることが報告されているアミロプラスト形成に関して、野生型とhy5の側根と主根で調べたが、これらの間に違いはなかった。hy5根系の成長習性を野生型のものに戻す抑制突然変異の単離を行った結果、いくつかの抑制変異候補を単離できたが、その中の一つは外観が非常に pin1変異体に似ていた。PIN1は、根ではオーキシンの求頂的輸送に働いている。hy5は、オーキシンの求頂的輸送が促進されていると報告されているので(Sibout et al.,2006)、PIN1の欠損がhy5におけるオーキシンの求頂的輸送を低下させ、正常なオーキシン輸送のレベルに戻すため、表現型が正常になるのかもしれない。このことは、根端におけるオーキシンの分布が根の傾斜屈性を引き起こしていることを示唆している。この点を明らかにするために、数種のオーキシン関係レポーター遺伝子をhy5に導入しているところである。
|
Research Products
(2 results)