Research Abstract |
我々は,Glu-tRNA^<Gln>をGln-tRNA^<Gln>に変換するtRNA依存アミドトランスフェラーゼGatCAB複合体の構造解析に成功し,グルタミナーゼ部位,キナーゼ部位およびtRNA結合部位を特定,30Å離れた2つの活性部位(グルタミナーゼ部位とキナーゼ部位)の間に分子内部のアンモニアチャネルが存在していることをScience誌に発表した.このアンモニアチャネルの開閉によりグルタミナーゼ反応とキナーゼ反応をカップリングする制御機構を解明するために平成19年度では,GatCABのアンモニアチャネルの開閉に重要と推定された残基GatB-E125(ゲート役),GatB-R190,GatB-D126(センサー役),GatA-T175の変異体GatB-E125A,GatB-E125S,GatB-E125D,GatB-E125Q,GatB-R190D,GatB-R190D,AGatB-D126A,GatA-T175A,GatA-T175Vの発現・可溶化に成功した.本年度は,これらの変異体を用いてin vivo活性測定によりアンモニアチャネル制御機構の解明を行った. 我々は,まず大腸菌in vivo活性測定系を構築した.Glu-tRNA^<Gln>を合成するND-GluRSを大腸菌で発現させると,Glu-tRNA^<Gln>は大腸菌には毒性を示すため大腸菌は生育できない.しかし,同時にGatCABを発現させると,Glu-tRNA^<Gln>はGln-tRNA^<Gln>へ変換され毒性が回避される.大腸菌in vivo活性測定系は大腸菌にND-GluRSとGatCAB変異体を共発現し,GatCAB変異体の機能が阻害されると,大腸菌の生育が遅くなることを利用して変異箇所の評価を行う.実際,活性測定を行った結果,アンモニアチャネルを制御しているゲート(E125)は立体障害でアンモニアチャネルを制御していると考えていたが,直接アンモニアの輸送に関与していることが示唆された.
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