2009 Fiscal Year Annual Research Report
気体分子を生理的エフェクターとする金属含有センサータンパク質の構造と機能
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19370059
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Research Institution | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設) |
Principal Investigator |
青野 重利 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (60183729)
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Keywords | センサータンパク質 / ヘムタンパク質 / 水素結合ネットワーク |
Research Abstract |
本研究では、気体分子(酸素、一酸化炭素、一酸化窒素)を生理的なエフェクターとする気体分子センサータンパク質の構造機能相関の解明を目的として研究を行なった。酸素センサータンパク質としては、グロビンドメインをセンサードメインとして利用する新規な酸素センサータンパク質HemDGCを対象とし、HemDGCによる酸素の選択的センシングの分子機構、ならびに酸素によるHemDGCの機能制御機構の解明を行なった。主に共鳴ラマン分光法による解析により、遠位側ヘムポケットに存在するTyr55とGln81がヘムに結合した酸素分子と特徴的な水素結合ネットワークを形成することが、HemDGCによる選択的酸素センシングに必須であることを明らかにした。HemDGC中のヘムに一酸化炭素が結合した場合には、酸素の場合に形成される特徴的水素結合ネットワークは形成されず、Gln81のみがヘムに結合した一酸化炭素と相互作用する。このような気体分子の種類に依存して、遠位側ヘムポケットに存在するアミノ酸残基が関与する水素結合ネットワークが組換わることにより、遠位側ヘムポケットのコンフォメーション変化が誘起されるものと推定される。HemDGCは、2分子のGTPから1分子のcyclic di-GMPを生成する反応を触媒する酵素活性を有していることも分かった。また、分子中のセンサードメイン中に存在するヘムに酸素が結合した場合にのみ、HemDGCは酵素活性を示すことが分かった。HemDGCは、酸素の有無によらずホモダイマー構造を有している。酸素によるHemDGC酵素活性の制御には、酸素の結合に依存したサブユニット間のコンフォメーション変化が重要な役割を果たしているものと考えられる。
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