2008 Fiscal Year Annual Research Report
サブミリ秒領域で探る超異方的ダイナミクスとフラストレーションの蛋白質機能への役割
Project/Area Number |
19370062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北尾 彰朗 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (30252422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城地 保昌 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (30360415)
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Keywords | タンパク質 / 超異方性 / 動態 / 機能 / フラストレーション |
Research Abstract |
本研究では、広い時空間で蛋白質分子機能の詳細な原理を解明するため、これまで十分な知見が得られてこなかったナノからサブマイクロ秒領域のダイナミクスに注目し、分子シミュレーションを用いて機能と密接に結びつく蛋白質ダイナミクスを観察し、超異方性とフラストレーションという観点から具体的に、A.素過程観測、B.エネルギー地形解析、C.摂動の効果、D.機能ダイナミラス相関、E.新しい統合的描像を明らかにすることを研究目的として研究を進めてきた。平成20年度は、前年度から継続してA.素過程観測の問題に引く続き取り組むと共に、新たにB.エネルギー地形解析の問題にも取り組んだ。 A.素過程観測の問題では、PBPファミリー蛋白質であるグルタミン結合蛋白質のドメイン運動解析に大きな進展があった。これまでに2回、オープン構造からクローズド構造に変化する素過程の観測に成功してた。これらの場合には、2つのドメインを接続するヒンジ部位の2次構造変化が大きく関与していると思考えられる。 B.エネルギー地形解析の問題に関しては、超異方的ゆらぎが観測される自由度を「反応座標」としてエネルギーマップを作成するため、第1に粗視化モデルで多数の初期構造を構築し、第2に多数のシミュレーションを同時に実行し、最後にWeighted Histogram Analysi Methodによって自由エネルギー地形を計算する手法を開発し、その優位性をペプチドの例で示した。その後、グルタミン結合蛋白質のドメイン運動に関する自由エネルギー地形を求めるための準備を進めている。
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