2009 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光標識アミノ酸の部位特異的導入によるタンパク質構造変化のFRET解析
Project/Area Number |
19370063
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
芳坂 貴弘 Japan Advanced Institute of Science and Technology, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (30263619)
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Keywords | 蛋白質 / 非天然アミノ酸 / 生物物理 / 無細胞翻訳系 / 蛍光共鳴エネルギー移動 / 4塩基コドン |
Research Abstract |
本研究では、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のドナーとアクセプターとなる非天然アミノ酸をタンパク質の特定部位へ導入することで、タンパク質の立体構造やその変化を解析する新規手法の確立を目指した。従来の方法では、やや大きな蛍光基をタンパク質内部の2ヶ所に導入する必要があったが、それによる立体障害の影響を極力避け、さらにアミノ酸主鎖と蛍光基との間にリンカーを含まないよう、NBD標識アミノ酸を設計した。また、同様にタンパク質に対する立体障害の影響を抑制するために、タンパク質のN末端に様々な蛍光基や標識分子を導入することのできる手法を開発した。これらを用いて、N末端に蛍光基を直接結合させた蛍光標識アミノ酸を、内部部位にNBD標識アミノ酸を導入したマルトース結合タンパク質をモデルタンパク質として合成した。蛍光スペクトル測定によるFRET変化から、マルトースの結合に伴うタンパク質の構造変化を計測することができた。さらに非天然アミノ酸の導入部位を変えることで、N末端と特定部位間の距離変化を推測することも可能になった。 一方、シアル酸含有糖鎖に結合するタンパク質(レクチン)についても、基質の結合およびそれに伴う構造変化を、FRETを用いて計測することを試みた。まず、基質結合部位のトリプトファン残基の近傍に蛍光標識アミノ酸を導入することで、糖基質の結合を蛍光消光の解消により検出することができた。続いて、それに加えてC末端部位にFRETのドナーとなる蛍光基を導入することで、糖基質の結合を蛍光消光とFRETの変化に伴う蛍光強度比によって計測することもできた。 さらに、これらの実験を効率よく行なうために、終止コドンUAGを用いて非天然アミノ酸を効率良く導入できるアンバーサプレッサーtRNAの開発を行ない、従来と同程度の効率を保ちつつ、選択性の向上したtRNAを取得することができた。
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Research Products
(20 results)