2008 Fiscal Year Annual Research Report
クロロフィルd導入による低エネルギー新型光合成の作成:光合成原理の解明
Project/Area Number |
19370064
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 繁 Nagoya University, 理学研究科, 教授 (40108634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三野 広幸 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (70300902)
宇津卷 竜也 名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (60402418)
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Keywords | 光合成 / 酸素発生 / シアノバクテリア / 植物生理 / レーザ分光 / 光化学系 / クロロフィル / 光生物 |
Research Abstract |
既知の酸素発生型光合成生物(植物、藻類、シアノバクテリア)は全て、その光反応に青色(430nm)と赤色670-700nmの波長の太陽光を吸収する色素クロロフィルaを用いてm緑の光を反射している。一方、酸素発生をしない光合成をする細菌型光合成では紫400nmと近赤外800nm以上の光を吸収するバクテリオクロロフィルaが使われる。進化の歴史の中で近赤外光よりエネルギーの高い赤色光を使うことで酸素を発生させる事がシアノバクテリアで可能になったと考えられてきた。しかし、本研究の対象生物アカリオクロリスは赤色光よりもエネルギーの低い700-750nmの近赤外光で酸素発生型光合成を行う。このメカニズムを知り、既存の植物やシアノバクテリアに応用して新たな光合成系を作り出すことを目標に研究を行った。アカリオクロリスのもつ色素合成系酵素の遺伝子をクローニングし、通常のシアノバクテリアに導入し、発現させたが変化せず、クロロフィルdは未知の酵素で作られることがわかった。光合成装置自体のタンパク質遺伝子は他の細菌でも機能しうることを示した。さらに未知酵素の探索を続けている。エネルギーの低いクロロフィルdの吸収する光でなぜ、酸素発生光合成が可能なのかを調べた。細胞から光化学系I,II反応中心複合体を精製し、レーザ分光で反応中心のクロロフィルdの反応をとらえた。極低温でクロロフィルd分子間の光エネルギー移動経路を測定した。この結果系I、系IIともにクロロフィルdが初期電荷分離に働くことを示した。色素部分をほぼ全部変えても、タンパク質部分の微調整のみで、より低エネルギー光での光合成が可能なことを示した。さらに多様な光合成系の機能と比較することで、メカニズムを検討した。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Photosystem I complexes associated with fucoxanthin-chlorophyll-binding proteins from a marine centric diatom, Chaetoceros gracilis.2008
Author(s)
Ikeda Y, Komura M, Watanabe M, Minami C, Koike H, Itoh, S. Kashino, Y., Satoh, K.
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Journal Title
Biochim Biophys Acta 1777
Pages: 351-361
Peer Reviewed
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