2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞が形成されるメカニズムを明らかにする新たなモデルの提唱
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19370092
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多羽田 哲也 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 教授 (10183865)
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Keywords | ショウジョウバエ / メダラ / 神経前駆細胞 / Notch / Proneural wave |
Research Abstract |
ショウジョウバエの視神経は視覚中枢のラミナ神経節およびメダラ神経節に投射する。メダラ神経は視覚葉の表面に存在する神経表皮に由来する。最内側に位置する神経表皮細胞がProneural遺伝子を発現し、その細胞は直ぐに神経芽細胞となる。これを時系列で追ってみると、最内側から始まるProneural遺伝子の発現は1細胞ずつ外側へ向かって神経表皮細胞列を上っていく。それは神経芽細胞を形成する波が規則正しく一方向に動いていく波のようあり、proneural waveと名付けた。さらにJAK/STAT信号系がproneural waveの進行を負に制御していることを見出した。本年度はProneural waveの分子実体がEGFシグナルであることを明らかにした。すなわちEGFシグナルが活性化されるとproneural遺伝子が活性化され、神経芽細胞に分化する。同時にRhomboid(不活性型Spitzリガンドを活性型する因子)が発現し、Spitzを活性型に変える。それにより次の神経表皮細胞が活性型Spitzを受け取り、proneural waveが進行していく。中枢の神経芽細胞が規則正しく形成されるメカニズムを明らかにした。EGFシグナルが活性化している領域でNotchシグナルのリガンドDlが発現し、Notchシグナルが活性化していることも見出した。さらに、EGFシグナルを核に伝えるPointed転写因子の発現はこのNotchシグナルにより維持されていることがわかった。NotchシグナルはEGFシグナルに必要であることを示している。ところが、EGFシグナルの変異クローンでは神経母細胞の形成がおきないにもかかわらず、Notchシグナルの変異クローンでは神経母細胞の過形成が起こり、全く矛盾する結果が得られた。この点はメダラ神経芽細胞の形成機構を明らかにする重要なポイントであると考え、さらなる解析を続けている。
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Research Products
(18 results)