2007 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の初期形熊形成システムにおけるギャップ遺伝子群の機能進化
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19370095
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
野地 澄晴 The University of Tokushima, シオテクノサイエンス研究部, 教授 (40156211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 淑代 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教授 (00253229)
三戸 太郎 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助手 (80322254)
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Keywords | コオロギ / 初期形態形成 / Otd / miRNA / 細胞移動 |
Research Abstract |
昆虫の発生様式には主に3種類あり、ショウジョウバエ型の長胚型、バッタ型の短胚型、コオロギ型の中胚型である。コオロギ型は、シンシチュウム後に、発生初期に頭部と胸部が形成され、その後に後部が伸長する。この発生様式はショウジョウバエのシンシチュウムの間に総ての体節が形成される様式とは非常に異なっているが、使用されている遺伝子はピコイドを除いてほぼ同じである。ショウジョウバエの初期発生の研究から、初期に発現している転写因子は卵内を拡散し、濃度勾配を形成することにより形態形成が進行するが、コオロギの場合は初期に細胞化が生じることにより、通常はタンパク質は細胞間を拡散できないと考えられるので、なぜ同じタンパク質が形態形成に使用できるのか謎が残っている。そこで、われわれは、まずコオロギの初期発生の細胞の移動について観察を行った。その結果、初期に卵の表面付近で形成された細胞は、まず左右に独立に移動し、細胞集団を形成し、その後その左右の集団は中央腹側に移動し、胚を形成することがわかった。ショウジョウバエの胚の前部の形態形成に関与するOtdの発現を調べた結果、各細胞に左右に独立に移動した時点で発現していることがわかった。このことは、コオロギの初期発生においては、Otdタンパク質の形態形成における役割は拡散による他の遺伝子の転写調節ではなく、細胞外因子の産生の制御により初期発生を制御している可能性が示唆された。 また、初期発生にmiRNAが関与している可能性があることから、コオロギ胚からmiRNAに対応するcDNAをクローニングすることを試みた。コントロール実験として、脳や肢に発現するmiRNAについてもクローニングを行った。その結果、脳などからはmiRNAのクローニングができたが、胚からは得られなかった。ショウジョウバエの胚で発現しているmiRNAに着目し、単離を試みたがまだ成功していない。
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Research Products
(3 results)