2007 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復促進タンパク質のDNA鎖切断部位への結合様式の解明
Project/Area Number |
19380054
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
鳴海 一成 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (90343920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 良太 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 研究主席 (30391246)
由良 敬 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 研究副主幹 (50252226)
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Keywords | 放射線 / 遺伝子 / 微生物 / タンパク質 / DNA修復 |
Research Abstract |
大腸菌発現ベクターに野生型pprA遺伝子をクローニングしたプラスミドを大腸菌に導入し、組換え大腸菌中でPprAタンパク質を大量生産した。次に、細胞破砕、硫安沈殿、疎水カラムクロマトグラフィー、ヘパリンを用いたアフィニティーカラムクロマトグラフィー、陰イオンカラムクロマトグラフィー及びゲル濾過を行い、野生型PprAタンパク質を精製した。この精製タンパク質を用いて、結晶作製とX線結晶構造解析を行い、ハンギンクドロップ蒸気拡散法を用いて作製したPprAタンパク質結晶から最高4オングストロームの回折点を観察した。また、PprAタンパク質のアミノ酸配列に対して3D-1D法にてコンピュータを用いた立体構造予測を行い、PprAタンパク質単量体がダンベル型構造を持つ大腸菌RecJの立体構造に適合するという結果を得た。さらに、PprAタンパク質の構造と機能の関係を解明することを目的として、ゲルシフトアッセイを用いて、PprAタンパク質とDNAの相互作用解析を行った。その結果、PprAタンパク質は1分子の2本鎖DNAに少なくとも約280分子の結合が可能であること、PprAタンパク質とDNAの複合体形成が、1mMの低濃度のMg,CaあるいはSrイオンにより促進されること、PprAタンパク質の多量体構造の形成及びPprAタンパク質とDNAの複合体の形成の両方に塩濃度依存性があることが分かった。また、直鎖状の2本鎖DNAとPprAタンパク質が複合体を形成する場合、PprAタンパク質の濃度上昇に伴って複合体どうしが会合し、大きな分子量をもつ会合体を形成することを明らかにした。この結果は、放射線によって切断されたゲノムDNAの2つの末端同士をPprAタンパク質が近づける役割を持つことを示唆し、PprAタンパク質の機能発現において重要な知見である。今後、X線結晶構造解析のためのより良質なタンパク質結晶を作製するとともに、精製タンパク質を電子顕微鏡イメージング法に供し、PprAタンパク質のDNA鎖切断部位への結合様式について詳しく調べる予定である。
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Research Products
(17 results)