2007 Fiscal Year Annual Research Report
移入樹種植林がもたらす侵入溶解の群集レベルでの解明
Project/Area Number |
19380094
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
尾崎 研一 Forestry and Forest Products Research Institute, 森林昆虫研究領域, チーム長 (50343794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 明良 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, チーム長 (90353599)
佐山 勝彦 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, 主任研究員 (70353711)
飯田 滋生 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, チーム長 (10370272)
大沢 正嗣 山梨県森林総合研究所, 森林環境研究部, 主任研究員 (80359249)
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Keywords | 侵入溶解 / 移入種問題 / 移入樹種植林 / 生物多様性 / 蛾類群集 / 食草 |
Research Abstract |
本研究では、北海道で国内移入種にあたるカラマツの人工林に生息する植物と蛾類を研究対象として、群集レベルの侵入溶解、つまり移入種澗の侵入促進作用が群集内の移入種を増加させるプロセスと、それが在来種に及ぼす影響を明らかにする。 今年度は、北海道でカラマツ人工林の多い道央地方と道東地方からカラマツ人工林、トドマツ人工林および落葉広葉樹天然林を、林齢と標高に配慮して約30林分選び、調査林分とした。また、カラマツが在来種である山梨県において、北海道の調査林分と林齢が同じカラマツ人工林と落葉広葉樹天然林を約10林分選び、調査林分とした。そして、これらの調査林分の一部に、それぞれ携帯型ライトトラップを1基設置して、7月と8月の新月前後の夜に各1回蛾類を採集した。また、同じ林分に50m×10mのトランセクトを設定した。トランセクトはライトトラップを設置した付近に設定し、調査林分に生育する植物種をなるべく多く把握できるよう、多様な環境を含めた。トランセクト内の胸高直径が5cm以上の木本について毎木調査を行い、胸高直径と樹種を記録した。そして、低木層(樹高2m以上かつ胸高直径5cm未満の木本)及び下層植生(高さ2m以下の木本、草本、シダ植物)の全種名と優占度を記録した。 その結果、北海道のカラマツ人工林(5林分)では林分当たり平均155種917個体、トドマツ人工林(2林分)では155種1082個体、落葉広葉樹天然林(4林分)では175種1083個体の蛾類が採集された。カラマツ人工林と落葉広葉樹天然林の種数と個体数には有意差はなかった。優占種3種の個体数が全個体数に占める割合は、いずれの林分でも約20〜30%であったが、優占種を構成する種は林分ごとに異なっていた。カラマツを主な寄主植物とするカラマツイトヒキハマキ、カラマツツツミノガ、チャオビオエダシャク、シロオビオエダシャクはいずれもカラマツ人工林でしか採集されなかったので、蛾類移入種の候補に挙げられる。
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