Research Abstract |
対象種であるミナミハンドウイルカの国内での分布域確認のため,長崎県対馬,鹿児島県奄美大島に赴き,それぞれ1回の現地調査(船舶による目視調査および地元研究者等からの聞き取り調査)を行った。その結果,前者では本種と思われる種が少なくとも春には北部沿岸域で時折目撃されていることが写真,ビデオから明らかになり,後者においては,大島海峡において約10頭からなる一群を発見し,他海域との比較のための個体識別用写真の撮影にも成功した。また,分布域把握のための,伊豆諸島から東京都鳥島近海での目視調査を予定していたが,天候不順で中止せざるを得なくなり,この調査は次年度以降に延期することとした。この代替措置として,御蔵島での本種の水中行動観察を行った。また,ミナミハンドウイルカとの行動比較を行うために名古屋港水族館(シロイルカ,ハンドウイルカ)および鳥羽水族館(イロワケイルカ)において飼育個体の行動観察を行った。 本種の繁殖周期を明らかにするための基礎研究として,沖縄美ら海水族館で飼育されている個体を対象に定期採血を開始した。また,関連ホルモンの日周変動を明らかにするための24時間採血を2回実施した。これらの試料は来年度,ホルモン濃度を測定する。 2007年7月,千葉県鴨川市で定置網に混獲された御蔵島産の雄個体1頭につき,約半年間の保護、治療のあと健康状態が改善したため,2007年3月下旬,衛星標識とデータロガーを装着して,その生活圏ならびに潜水パターンの把握のため,外房半島沖に放流した。現在,その行動を追跡中である。
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