Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 三十四 尾道大学, 経済情報学部, 教授 (90030684)
永木 正和 筑波大学, 生命環境科学研究科, 教授 (90003144)
長谷部 正 東北大学, 農学研究科, 教授 (10125635)
草苅 仁 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (40312863)
鈴木 宣弘 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80304765)
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Research Abstract |
近年,世界的にミクロデータ(個票データ)の利用可能性がかつてないほど高まり,消費者需要の実証研究においてもミクロデータを用いた計量分析が主流となりつつある.需要分析におけるミクロデータの最大の利点は,支出の変動が大きく,支出が需要に与える影響を鮮明に捉えることができる点である.従来からよく利用されてきた集計データは,比較的容易に入手できる反面,集計の過程で支出の変動が相殺されてしまっている.つまり,支出の影響を充分に把握するためには,明らかにミクロデータの方が適している. 需要分析の標準的な方法の一つに需要システムがある.需要システムは,複数の財の需要関数を連立方程式で表したもので,ミクロ経済理論に忠実に則りながら,消費者の効用関数の最大化から導出される.典型的な非耐久財である食料の需要分析では,需要システムが特に頻繁に利用されている.一方,支出が需要に与える影響は,エンゲル曲線(支出と支出比率との関係)で捉えることができる.一般に,需要システムのランクが高くなるほど,複雑なエンゲル曲線を表現することが可能となる. 国内外の実証研究の動向をみると,ミクロデータを分析した結果として,しばしばかなり複雑な形状のエンゲル曲線の存在が示唆されている.ところが,それらを適切に捉えるためには,現在知られている需要システムでは必ずしも充分とは言えないのである. 以上のように,現存する需要システムでは,しばしば観察される複雑なエンゲル曲線を充分に捉えることができない.こうした問題に対する解決策の一つとして,平成19年度は任意ランクになりうる需要システムを提案した.これまでに知られている需要システムの最高ランクは4であるのに対し,本モデルには実質的なランクの制約がないというメリットがある.
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