2009 Fiscal Year Annual Research Report
北東アジア広域圏における共通食料自給率政策の構築に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19380130
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
黒瀧 秀久 Tokyo University of Agriculture, 生物産業学部, 教授 (70178135)
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Keywords | 北東アジア / 共通食料自給率 / フードシステム / 国際貿易 / 食料安全保障 / 広域経済圏政策 |
Research Abstract |
本年度の主な研究実績としては、これまでの研究成果を分析するとともに、補完調査の検討も合わせ3回の打ち合わせ会議を実施した。なお、今年度は台湾及び中国の海外視察調査を実施し、また研究の集大成として報告書を刊行した。なお、海外視察調査については、2009年9月14日~9月20日にかけては台湾を、2009年10月28日~11月8日にかけては中国を視察した。台湾では、全体的に国内食料自給率の向上をメインとするよりは、農産物貿易を主としており、海外の農産物に対抗するため品質の向上に力が入れられている。それは農業生産力の向上というよりも、農家の所得確保に力が入れられているためであり、グリーンツーリズムをはじめとした農家の5次産業化・6次産業化に力が入れられていた。また、中国については、2007年に訪問した際には、国内の食料自給率の維持についてはそれほど危機感を抱いていなかったが、この度視察した際には、食料自給率政策に対する意識に変化が見られ、北東アジア圏における共通食料自給率について高い関心を示していた。また、中国では都市部や海外の消費動向に合わせて、減農薬・減化学肥料による緑色農産物の推進により力が入れられているようである。人口増加や環境問題の深刻化による食料不足、さらに経済危機等により、食料安全保障が世界的な課題となっている今日においては、各国の食料自給率の向上にむけて、相互に食料自給率を高め、広域圏として相互に補完し合う政策の構築が課題となる。この点については、これまで国際的な食料備蓄機構の設立なども検討されてきたが効率的に機能していないのが現状である。この課題を解決していく上で重要となるのは、北東アジア共同体の構築である。そして、食料自給率の向上においては国内外の消費動向を踏まえる必要があるが、北東アジア圏においては有機農産物の動向も踏まえて分析することが鍵となる。
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Research Products
(11 results)