2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19380137
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
赤江 剛夫 Okayama University, 大学院・環境学研究科, 教授 (10123423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸泉 和嗣 岡山大学, 保健環境センター, 准教授 (60230174)
守田 秀則 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (60239663)
石黒 宗秀 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (00294439)
濱田 浩正 (独)国際農林水産業研究センター, 生産環境領域, 主任研究員 (60360393)
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Keywords | 津波 / 海水 / 農地 / 除塩 / 灌漑 |
Research Abstract |
タイ国では土地開発局(LDD)およびLDDコンケン事務所との間で,中国については内蒙古農業大学および河套灌区管理総局との間で,協力組織を確立することができ,今後の調査研究計画内容について合意し,現地視察調査を行った。 海水被曝による農地塩害の事例として,2004年12月のインド洋津波による被害実態をタイ国プーケット地区を対象に調査した。当地域の多雨条件下では,土壌中の塩分は比較的短い期間に除塩されるものの,作物被害は甚大で長期間に渉って継続すること,耕転,灌概などの対応の有効性が明らかになった。被災前後および被災1年後の人工衛星画像を用いて,海水侵入による植生のダメージおよび,1年後の回復状況について分析した。検討の余地は多々残っているものの,地形や土壌類型等の土地条件と被災・回復状況の関係を見出した。 熱帯モンスーン気候条件下での海水被曝における塩分の農地への浸入と再分布を検討するため,東北タイのコンケン近郊に試験地を設け,1.5m×1.5mの塩水浸入枠を3つ設置し,塩水を10cm堪水させ浸透試験を実施した。現在,定期的に土壌水分分布と塩分濃度を測定し,再分布とリーチングの状況を観測している。乾燥気候条件下で同様の試験を行うため,中国内蒙古,河套灌区,沙壕渠試験場に試験圃場を設定した。 また,両試験地の土壌を用いた塩水浸入・再分布・リーチングカラム実験を実施した。根の吸水を考慮した水分移動を,解析コードにHYDRUSを用いて,予備解析を行った。その結果,根密度の分布の仕方によって根群域の水分量および蒸散量が異なることが明らかになり,土壌中への塩水浸入および再分布を解析する際に根の吸水が無視し得ないことがわかった。以上の現地試験および室内カラム実験を通じて,土壌の違いによる塩分動態の特徴が明らかになり,これを同定する実験・解析手法をほぼ確立することができた。
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