2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤による初期化促進の分子機構解明とその応用
Project/Area Number |
19380161
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
岸上 哲士 Kinki University, 生物理工学部, 講師 (10291064)
|
Keywords | 核移植 / リプログラミング / クローン動物 / ピストン脱アセチル化酵素 / マウス / 再生医療 |
Research Abstract |
本研究課題では、これまでほとんど明らかになっていない卵子における初期化の分子機構の解明および次世代クローン技術の開発を最終目標とし、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACi)による初期化促進の分子機構を解明し、HDACi用いた新しいクローン技術の確立を目指して行っている。1)平成19年度の研究では、クローン胚の発生に適した新たなHDACiの発見を目指しスクリーニングを行った。その結果、従来用いているトリコスタチンA(TSA)に加えて5種類のHDACiから2種類のHDACiにおいてクローン胚の発生の改善が見られた。しかしながら改善の程度がTSAと同等であったことから、HDACiを用いたクローン技術の改善率はほぼ限界に達していること可能性が考えられる。2)また他種への応用として、佐伯教授(近畿大学)らとの共同研究においてTSAを用いた体細胞クローン技術をウシへの応用を試みた。現在まで、マウスの場合と同様にウシにおいても有意な発生の改善が観察された。このことから、HDACiを用いたクローン技術は種を越えてクローン技術を改善する技術であることが示唆された。3)さらにクローンマウス作出技術の改善を目指し、従来のカルシウムを含まない培養液を用いたストロンチウムによる活性化法に代わり、カルシウムを含む培養液にキレート剤を入れた培養液を用いた新たな活性化法の開発を行った。単為発生胚作出の結果から、この新しいキレート剤を用いた活性化法では、卵子の変性率や退行率が従来法より有意に減少することが示された。さらにこの活性化方法によるクローンマウスの作出も証明されたことから、今後クローンマウスの作出に普及することが期待される。
|
Research Products
(11 results)