2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤による初期化促進の分子機構解明とその応用
Project/Area Number |
19380161
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
岸上 哲士 Kinki University, 生物理工学部, 講師 (10291064)
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Keywords | 核移植 / リプログラミング / クローン動物 / ヒストン脱アセチル化酵素 / マウス / 再生医療 |
Research Abstract |
本研究課題では、これまでほとんど明らかになっていない卵子における初期化の分子機構の解明および次世代クローン技術の開発を最終目標とし、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACi)による初期化促進の分子機構を解明およびHDACi用いた新しいクローン技術の確立に関する研究行っている。1)平成20年度の研究では、研究計画に記したHDACiにより誘導されるエピジェネティクな変化(シス因子)とその標的の解析を行うため、まず通常の受精胚を用いてHDACi処理が発生に与える影響を詳細に解析した。まず体外受精時からその後の体外培養を含めてHDACi処理を0時間、10時間、20時間それぞれ行い、胚移植後胎児や産仔を調べたところ、処理時間が長くなるにつれ胎児や産仔および胎盤の矮小化が観察された。今回以前の我々の報告と一致して初期のHDACの活性異常がそれに続く発生に大変重要であることが確認できると同時に、処理時間と発生異常に関する詳細な結果得られた。現在、これらの発生異常の機構を明らかにすべく、DNAメチル化についてシス因子の解析を開始した。今後これらの解析を通じて、HDACの初期胚における機能が明らかになることが期待される。2)他種への応用として、佐伯教授(近畿大学)らとの共同研究においてHDACiを用いた体細胞クローン技術をウシへの応用研究を行っている。すでに昨年の報告した通り、体外培養においてマウスの場合と同様にウシにおいても有意な発生の改善が観察された。ウシクローン胚におけるエピジェネティックな変化の解析を行ったところ、DNAのメチル化レベルにおいて有意に変化が観察された。今後これらの胚を仮親に移植し、出生後の発生改善を確認する予定である。
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Research Products
(11 results)