2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤による初期化促進の分子機構解明とその応用
Project/Area Number |
19380161
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
岸上 哲士 Kinki University, 生物理工学部, 准教授 (10291064)
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Keywords | 核移植 / リプログラミング / クローン動物 / ヒストン脱アセチル化酵素 / マウス / 再生医療 |
Research Abstract |
本研究課題では、これまでほとんど明らかになっていない卵子における初期化の分子機構の解明および次世代クローン技術の開発を最終目標とし、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACi)による初期化促進の分子機構を解明し、HDACi用いた新しいクローン技術の確立を目指して行ってきた。平成21年度は、Thuan博士および若山照彦博士らとの共同研究により従来のトリコスタチンAに代わりHDACiの一つであるscriptaidによる新らたなクローン技術を開発しinbredクローンマウスの作出の論文報告を行った。さらに昨年度に続き、胚におけるHDACi処理による発生への影響の解析を行った。その中で、単為発生した胚をHDACi処理した場合にクローン胚の場合と同様に着床後の発生率が大きく改善するという大変興味深い現象を発見した(岸上ら未公表)。これまでの研究結果から通常の受精胚をHDACi処理した場合に発生率が低下し、倭小化した胎児が得られることを明らかにしている。これらの結果から、HDACi処理の発生率から胚は2つに大別されることや単為発生胚の発生改善からHDACi処理がゲノムインムリンティングにおよぼす影響の可能性が示唆された。今後これらの単為発生胚の胎児ゲノムを解析することにより、HDACi処理における発生改善機構の解明につながることが期待される。またさらに、非ヒストンタンパク質のアセチル化の影響を調べるため、非特異的なリジン残基のアセチル化抗体を用いて胚のHDACi処理の解析を行ったところ、核に加えて紡錘体や細胞質のアセチル化レベルも大きく変化することが初めて明らかとなった(岸上ら、未発表)。今後これらのタンパク質を同定することで、HDACi処理による胚への影響を分子レベルで解明する手がかりを得ることができた。
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Research Products
(7 results)