2008 Fiscal Year Annual Research Report
知覚神経培養細胞と神経組織標本を用いた疼痛反応の定量化に関する研究
Project/Area Number |
19380163
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 茂男 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 教授 (40109509)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乙黒 兼一 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教 (40344494)
|
Keywords | バニロイド受容体 / TRPV1チャネル / 後根神経 / 新生ラット脊髄標本 / ヒスタミン / ブラジキニン / アデノシン / 低酸素刺激 |
Research Abstract |
電気生理学的手法、Ca画像解析法、神経伝達物質放出測定法等を組み合わせ、摘出脊髄標本と知覚神経培養細胞の痛覚関連反意及び痛覚関連たんぱく質の反応を調べ、以下の結果を得た。 1) ブタのバニロイド(Transient Receptor Potential、TRPV1)受容体チャネルのpH感受性領域を改変し、HEK293細胞に発現させ、この細胞の細胞内Ca濃度とチャネル電流を測定した。TRPV1はNaイオンを除去すると活性化され、プロトンセンサー部を修飾するとこの反応が低下することから、Naイオンがプロトン結合部位と反応し、TRPVIを抑制している可能性が示された。また、マウス一次知覚神経の培養細胞を用いて、TRPV1チャネルに対するヒスタミンの作用を調べた結果、ヒスタミンはH1受容体を介してTRPV1反応を増強し、これにはプロテインキナーゼCによるTRPV1のリン酸化が関与することが示唆された。 2) 摘出脊髄標本における低酸素刺激は、アデノシン放出を起こし、単シナプス反射と侵害受容反射を抑制した。グリア細胞の代謝抑制薬により、このアデノシン放出が抑制されることから、低酸素刺激では、グリア細胞からのアデノシン放出が関与していることが示唆された。高炭酸刺激でも単シナプス反射と侵害受容反射を抑制され、これにはアデノシンキナーゼの抑制が生ずるが、低酸素刺激では別の機序でアデノシンが生成されると考えられる。一方、パラクロロアンフェタミンにより内因性5-HTを放出させると摘出脊髄の単シナプス反射と侵害受容反射が抑制され、前者の抑制には5-HT2A受容体が直接関与し、後者の掬制には5-HT2A受容体を介するGABA放出が関与することが示された。 3) 腸管の炎症による痛覚過敏反応を調べる目的で、新生ラットから筋間神経叢を分離培養した。炎症で産生されるブラジキニン(BK)はB1受容体を介して腸管グリアと神経の細胞内Caを増加させた。 BKはグリア細胞からプロスタグランジンE2を放出させ、神経細胞のBK反応を増強させた。
|