2008 Fiscal Year Annual Research Report
経神経伝播人畜共通感染症の新しい予防・治療法の確立と伝播メカニズムの解明
Project/Area Number |
19380171
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
梅村 孝司 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 教授 (00151936)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴 天鎬 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (50383550)
喜田 宏 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10109506)
|
Keywords | 狂犬病 / 経神経伝播 / 鞘内免疫 / ワクチン / 人畜共通感染症 |
Research Abstract |
1. ウイルスの経神経伝播メカニズムの解明 経神経伝播を行うウイルスの代表として、豚血球凝集性脳脊髄炎ウイルス(HEV)とオーエスキーウイルス(PRV)の感染性を比較した。新生マウスの脊髄背根神経節初代培養細胞に両ウイルスを感染させたところ、HEVは神経細胞にのみ感染し、PRVは神経細胞と非神経細胞に感染した。両ウイルスは微小管および中間径フィラメント阻害剤処理された細胞では感染性が著しく減少した。以上の結果から、(1)HEVは神経細胞にのみ特異的に感染するが、PRVはシュワン細胞にも感染して経神経伝播できること、(2)両ウイルスの細胞内輸送には中間径フィラメントと微小管が関与していることが分かった。 2. 新しい鞘内免疫法の開発 通常の鞘内免疫では抗原を脳脊髄液に直接接種するため、技術を要すること、脊髄損傷の危険を伴うことが問題である。そこで、抗原を鼻腔深部の嗅細胞に取り込ませることによって、鞘内免疫と同じ免疫効果を得られないか検討した。ホルマリン不活化オーエスキーウイルス抗原を粘膜接着性のゲル状高分子化合物に溶解し、ウサギの鼻腔深部に充填した。脳脊髄液に抗原を直接接種した群と無処置群を対照に置いた。全てのウサギから経時的に脳脊髄液と血液を採取し、抗体価と抗体の種類を決定した。実験終了後、ウサギの嗅粘膜と嗅球を採取し、ウイルス抗原と遺伝子を検索した。その結果、嗅粘膜投与では血中に抗体を誘導し、嗅球に少量のウイルス遺伝子を運ぶことはできるものの、脳脊髄液中に特異抗体を誘導するには至らず、嗅細胞による抗原の取り込みを加速するための方策が必要であることが分かった。また、脳脊髄液への直接接種で誘導される抗体はIgGとIgAから成っていることが分かった。
|
Research Products
(3 results)