2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19380181
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
空閑 重則 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60012051)
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Keywords | セルロース / ナノファイバ / ゲル / エアロゲル / ナノフィルタ |
Research Abstract |
(1)19度の研究により、様々な植物組織から幅3nm以下のセルロースナノファイバーが得られることが分かったので、これを用いてナノ粒子捕捉用の精密フィルタを構成する試みを行った。しかしナノファイバーのみでフィルタを構成するとろ過抵抗が大きくなるので、マクロ多孔性基材(ろ紙)の上にセルロースナノファイバーを超薄層として積層する手法を検討した。(結果)ナノファイバー懸濁液をろ紙でろ過すると、基材の孔径が大きすぎてナノファイバーがろ紙繊維に貼りついてしまい、ろ過層を構成することができなかった。そこでフィルタ構成ファイバを多段にすることを考え、700nm径の合成繊維(ポリエステル)ステープルを使用することとした。これによりセルロースナノファイバーを網目状に保持してナノ粒子用フィルタを構成することができた。 (2)再生セルロース径ナノファイバーの高機能化利用のため、アルカリ-尿素系溶剤からの再生で得られるセルロースゲルの多孔構造を調べた。電子顕微鏡による高分解能観察の結果、該ゲルの網目は5〜10nm径のセルロースII型ナノフィブリルで構成され、それらで構成される空隙の径は50〜100nmであった。この構造はそのままフィルタとして利用できるほか、各種の異種物質(金属、無機物、合成高分子)を網目中で析出させることにより、新しいタイプのナノコンポジットの合成に利用できることが分かった。 (3)上記セルロースゲルは強靭な網目構造を持つので、溶媒置換乾燥によって容易にエアロゲル化することができる。これは500m2/g程度の比表面積を有するナノ多孔体であり、驚異的な断熱性能(熱伝導度0.002J/mK程度)を持つことが分かった。
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