2007 Fiscal Year Annual Research Report
バイオフィルム形成分子機構を切り口とした微生物未知機能の解明
Project/Area Number |
19380189
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森川 正章 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (20230104)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲尾 健司 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教 (50241302)
|
Keywords | バイオフィルム / 環境微生物 / ナフタレン分解細菌 / 食中素細菌 / 加熱殺菌耐性 / バイオサーファクタント |
Research Abstract |
微生物は固体表面に付着して「バイオフィルム」を形成し、外部ストレスに対して高い抵抗性を示す。例えば、4種の食中毒細菌バイオフィルムについてその加熱殺菌耐性を浮遊細胞と比較したところ、いずれにおいても約10℃の差が認められた。本年度ではバイオフィルム形成に関する基礎的な知見として、バイオサーファクタント合成制御に関して多くの成果が得られた。一方、バイオフィルム研究の応用分野のひとつとして環境浄化技術におけるバイオフィルムの有効性を検証した。近年、汚染物質分解微生物を利用した環境浄化技術が注目されているが、汚染現場への有用微生物の定着率の低さや分解活性の低下などの課題が指摘されている。 研究室保有の石油分解細菌6種を比較検討したところ、多環式芳香族化合物を分解するPseudomonas stutzeri T102株が最も高いバイオフィルム形成能を示した。続いてナフタレンを基質としてバイオフィルム細胞と浮遊細胞の分解能力を比較したところ、前者は分解開始までに4時間程度のラグタイムが存在するものの、その後は浮遊細胞よりも高速に分解が可能であり、70%分解に必要な時間は10時間であった。これに対して浮遊細胞では26時間を要した。また実際の原油汚染土壌中におけるT102株の定着率を変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法により解析したところ、バイオフィルム細胞は浮遊細胞よりも明らかに高く、2ケ月後においても分解活性のある細胞が維持されていた。以上の結果から、バイオフィルムの利用によって効率的かつ持続的な汚染物質分解が可能であることが示された。
|
Research Products
(11 results)