2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイオフィルム形成分子機構を切り口とした微生物未知機能の解明
Project/Area Number |
19380189
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森川 正章 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (20230104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲尾 健司 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教 (50241302)
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Keywords | バイオフィルム / バイオレメディエーション / バイオサーファクタント / 分枝型アルカン分解細菌 / タービン油分解細菌 / 植物生育促進根圏細菌 / フェノール分解細菌 |
Research Abstract |
微生物は固体表面に付着して構造体「バイオフィルム」(いわゆるヌメリ)を形成し、外部ストレスに対して高い抵抗性を示す。本研究課題の主目的のひとつは、環境汚染現場に分解微生物を安定に導入維持する方法としてバイオフィルムの利用可能性を検討することである。本年度では、微生物環境修復技術(バイオレメディエーション)に利用可能な微生物をさまざまな汚染現場より取得し、その性質を検討した。その結果、(1)油乳化作用の極めて高い糖脂質型バイオサーファクタント(ソホロリピド)を生産する酵母Pichia anomalaを発見した。(2)難分解性分枝型アルカンを分解できる細菌Rhodococcus erythropolisを発見し、分解に関与する遺伝子が5種類存在することを明らかにした。(3)難分解性タービン油を分解する細菌を発見し、その活性が共存する細菌によって促進されていることを明らかにした。さらに(4)水質浄化に有効な炭化水素分解細菌として、水草根圏からフェノール、ナフタレン、および原油成分を分解する細菌を20種類以上発見した。これらのうち、新規フェノール分解細菌Acinetobacter属P23は水草根に強く付着する性質があり、光合成作用によって水草根から供給される栄養物質を使用することによって1ヶ月以上にわたって高いフェノール分解活性が持続することを発見した。また、P23が付着した水草は生育速度が1.5倍高くなることを発見した。これは環境汚染物質を分解する細菌が水草に対する成長促進細菌でもあることを示した最初の例である。このように植物根表面に有効微生物を付着させバイオフィルムを形成させることによって、持続的な環境修復技術基盤が開発可能であることを示した。以上の成果をまとめて特許を出願した。
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article]2008
Author(s)
森川正章
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Journal Title
将来展望 バイオフイルムがもたらすブレークスルーの可能性「バイオフィルムの基礎と制御」(ブッカーズ編)(株式会社 エヌティーエス)
Pages: 389-399
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[Journal Article]2008
Author(s)
鷲尾健司、森川正章
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Journal Title
バイオサーファクタントを利用したバイオフィルムの形成と阻害「バイオフィルムの基礎と制御」(ブッカーズ編)(株式会社 エヌティーエス)
Pages: 278-287
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