2008 Fiscal Year Annual Research Report
p53癌抑制システムにおける転写因子Bach1の機能の解明
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19390068
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十嵐 和彦 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00250738)
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Keywords | 遺伝子 / ストレス / 蛋白質 / 発現制御 / 免疫学 |
Research Abstract |
本研究の目的は以下の3つである。1.Bachl-p53相互作用とその制御の分子機構両者の結合が直接なのかどうか,間接的なものとしたら介在する分子は何なのか? 2.Bachl-p53経路の下流で細胞老化を具現化する下流遺伝子の同定Bachl KO MEFでは,p53標的遺伝子のなかでも細胞老化関連遺伝子の発現が選択的に変動している可能性がある。3.Bachlが癌化因子として作用する可能性Bachlがp53のブレーキだとすると,Bachlノックアウトマウスでは発癌過程が抑制されやすいことが予想される。そこでトランスフォーメションアッセイや化学発癌実験を用いてこの仮説を検証する。 目的1については、Bachlとp53は直接に結合するのではなく、何らかの蛋白質を介することを証明した上で、介在因子の同定を進めた。ある種のシャペロンタンパク質を候補としているが、その生化学的解析は完成していない。目的2については、候補遺伝子を多数同定し、少なくとも4ヶのp53標的遺伝子が細胞老化を実行することがわかった。また、これら遺伝子群とpRbとが相補する形で細胞老化を維持していることも証明した。目的3については、野性型およびBachlノックアウトマウス由来の線維芽細胞を用いて、活性型Rasによる形質転換を比較し、Bachlノックアウト細胞は形質転換効率が著しく低いこと、すなわち、Bachlは形質転換に重要であることが示された。さらに、ヌードマウスへの移植実験により個体レベルでのがん化にもBachlが関わることを証明した。このメカニズムとしては、BachlがMAPKシグナリングに必要であることから、Bachl非存在下では増殖刺激を維持できなくなることが考えられる。Bachlは今までにない分子標的療法の候補となることが示唆される。
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Research Products
(7 results)