2008 Fiscal Year Annual Research Report
男性不妊、潰瘍性大腸炎における細胞接着分子TSLC1の異常の意義の解析
Project/Area Number |
19390091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 善則 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (30182108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武内 巧 東京大学, 医学部・附属病院, 准教授 (90167487)
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Keywords | 病理学 / 遺伝子 / 発現制御 / 男性不妊 / 潰瘍性大腸炎 |
Research Abstract |
1. ヒト男性不妊症におけるTSLC1の関与の実態と意義の解析(武内、村上)特発性男性不妊症患者の精巣生検組織で、Tslc1遺伝子欠損マウスが示した精子細胞のセルトリ細胞からの滑脱と類似の形態を示す例の中で、精巣組織でのTSLC1タンパク質の発現低下が認められた6例について、TSLC1遺伝子の塩基配列解析を行ったが、変異は認められなかった。 2. 精巣、精子細胞におけるTSLC1分子経路の解明とその意義の解析1村上)分化、成熟中の精子細胞が接着する相手細胞であるセルトリ細胞において、TSLC1タンパク質と結合する候補分子をTSLC1免疫沈降物の質量分析によって検索し、さらに個別の結合活性に関する解析を加えることにより、3種の新規結合タンパク質を同定した。現在、これら分子群の精子形成における生理学的、病理学的意義を検討しているが、少なくとも1種はセルトリ細胞で発現する膜タンパク質であることを確認した。 3. TSLC1転写制御の精子形成における意義の解明(村上)レチノイン酸によるTSLC1遺伝子の発現誘導が転写活性化によること、また転写活性化にはTSLC1遺伝子上流のSp1結合部位が重要であることを、ルシフェラーゼ・アッセイ等を用いて見出した。またTslc1遺伝子欠損マウスの遺伝的相補による精子形成能の回復を目的として前年度までに作成したTSLC1トランスジェニック・マウスの精巣でのTSLC1タンパク質の発現を確認し、Tslc1遺伝子欠損マウスとの戻し交配の準備を完了した。 4. 潰瘍性大腸炎におけるTSLC1の関与の実態と意義の解明(村上)堤潰瘍性大腸炎症例67例について大腸粘膜上皮におけるTSLC1の発現の程度を検討し、潰瘍性大腸炎の炎症の強さの指標であるMattsグレードとTSLC1発現とが相関すること見出した。
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