2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390142
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
渡邊 武 The Institute of Physical and Chemical Research, 免疫組織再生研究ユニット, ユニットリーダー (40028684)
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Keywords | 人工リンパ節 / メモリーT細胞 / メモリーB細胞 / 抗原特異的二次免疫反応 / 免疫組織再生 / 感染症治療 / ワクチン / 再生医学 |
Research Abstract |
リンパ節組織の人工的構築を行い、その構造が自然のリンパ節に類似した抗原特異的抗体産生能を有する組織を構築する方法を確立した。この人工リンパ節を非免疫状態の個体、あるいは免疫不全症(SCID)の個体に移植し抗原で免疫すると、抗原特異的抗体産生系において、正常リンパ節では到達し得ないほどの強い二次免疫反応を誘導出来た。このような高効率の免疫機能をもった人工リンパ節の成功は世界で初めてである。また、T細胞の記憶細胞、B細胞の記憶細胞が人工リンパ節内に濃縮されるという結果が得られた。このことは、人工リンパ節において強い二次免疫反応が急速に引き起こされる理由の一つと考えられた。ヘルパーT細胞を解析するため、人工リンパ節内に高度に集積されてくるCD4+CD44hiCD62LloヘルパーT細胞集団をセルソーターにて分離精製して、(1)マイクロアレイ法による遺伝子発現パターンの解析、(2)FACSによる表面マーカー(ICOS,OX40,CXCR5など)の解析、(3)抗TCR抗体刺激後のサイトカイン産生パターンの解析を行った。その結果、人工リンパ節内に、エッフェクター型メモリーT細胞、B細胞濾胞内ヘルパーT細胞が高度に濃縮されていることが明確となった。さらに抗原特異的記憶B細胞も高度に濃縮されてくることがわかった。我々の作製した人工リンパ節には抗原特異的な免疫記憶T細胞、記憶B細胞が効率よく濃縮されてくることがわかった。このような組織を生体に移植することにより、速やかに抗原特異的に二次免疫反応を誘導して病原体を排除出来ることが期待される。現在、その免疫細胞系がほぼ100%ヒト由来の細胞から構成されているヒト化マウスを用いて、ヒト型の人工リンパ節、リンパ組織の構築についても研究を開始した。
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