2008 Fiscal Year Annual Research Report
発がんにおける肥満と食餌性因子の多段階発がん機構への関与の解明とリスク評価
Project/Area Number |
19390161
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
村田 真理子 Mie University, 大学院・医学系研究科, 教授 (10171141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 伸二 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10277006)
平工 雄介 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30324510)
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Keywords | 2-nitrotoluene / 2-nitrosotoluene / 遺伝子損傷 / 活性酸素 / 8-オキソデオキシグアノシン / エストロゲン活性 / 内分泌撹乱作用 / 女性生殖器発がん |
Research Abstract |
2-Nitrotoluene(2-NO_2-T)は農薬、ゴム薬品および染料の合成に重要な商業用化学物質である。環境調査により河川および大気に2-NO_2-Tが存在することが示されている。National Toxicology Programにより雌雄のラットにおいて2-NO_2-Tが明らかな発がん性を有することが示された。また雌雄のラットにおいて乳腺腺腫が認められている。発がん機構の解明のために2-NO_2-Tおよびその代謝物2-nitrosotoluene(2-NO-T)による遺伝子損傷性を細胞および単離DNAを用いて検討した。P^<32>標識単離DNA断片を用いた実験では、2-NO-TはCu(II)および生体内還元物質NADH存在下でDNAを損傷したが、2-NO_2-Tは損傷しなかった。2-NO-TによるDNA損傷はカタラーゼおよびCu(I)キレート剤であるバソキュプロインにより抑制されたことから、過酸化水素とCu(I)の関与が示唆された。ヒト培養細胞HL-60細胞を2-NO-Tで処理した結果、酸化的DNA損傷の指標である8-oxodGの生成が有意に上昇した。リアルタイムRT-PCRを用いた解析により、2-NO-T処理において8-oxodG修復酵素OGG1の遺伝子発現が8-oxodG生成と正相関することが確認された。エストロゲン感受性MCF-7乳癌細胞を用いたE-screenassayにより、2-NO_2-Tは細胞増殖作用を示し,2-NO-Tは逆に増殖を抑制した。表面プラズモン共鳴法を用いたエストロゲン受容体(ER)とエストロゲン反応領域(ERE)との反応性の検討においても2-NO_2-Tはエストロゲン作用を,2-NO-Tは抗エストロゲン作用を示した。2-NO-Tによる酸化的DNA損傷および2-NO_2-Tと2-NO-Tとによる内分泌撹乱作用が女性生殖器発がんに関与する可能性が示唆された。
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